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□突発的アイラブユー
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『獅子座のあなた、今日は思いがけない事が起こるかも。ラッキーアイテムは…』


「思いがけない事って何だろ?あっ、もしかしたらお通ちゃんが僕に会いにきてくれるとかっ!?」

「んな訳ないアル。夢見てんじゃねーヨ、駄メガネが。」

「べっ、別に良いでしょ、ちょっとぐらい期待したって。もしかしたらってことも…」

「100パーないネ。ってか、思いがけない事ってのが良い事とは限らないアル。逆に悪い事かもしれないダロ?例えば、病気になるとか事故に遭うとか…」

「ちょっ、不吉なこと言わないでくれるゥゥゥ!?」

今朝もいつも通り3人と1匹で食卓を囲む。

和やかとは到底言えない騒がしい坂田家の食卓。

だがそんな騒がしさも、俺のある一言で静まり返ってしまうという事に、新八も神楽も、俺自身でさえもこの時はまだ気づいていなかった。

「新八ィ、おかわりっ!」

「ハイハイ、ちょっと待って。」

ただ黙々と箸を持つ手を動かしながら、俺はまだハッキリとしない寝起きの頭で考えていた。

"それ"を自覚して以来、ずっと続いている悶々とした日々。

そして、一度気づいてしまえばもう、気持ちを誤魔化す事なんてできなくて。

打ち明けるべきか、否か。

『続いては…』

何気なく視線をテレビに移しながら、頭の中で尚も自分に問いかける。

打ち明けるべきなのか。

それとも。



『天秤座のあなた、悩み事は思いきって打ち明けてみましょう。』



「お前が好きだ、神楽。」

「ブフォッ!?ゲホッ、ゲホッ…」

突然、新八が飲んでいた茶を盛大に吹き出した。

(何でっ!?銀さん、何で今このタイミングで言ったのっ!?)

口元を拭いながら目だけでそう訴えてくる。

だって俺、天秤座だから。

神楽はといえば、目を見開いて箸を口元に運んだままピタリと止まっていて。

「………。」

「あ、あの…用事思い出したんで僕帰ります。」

いち早く気まずい空気を察した新八は、そう切り出すと立ち上がってそそくさと部屋を出ていった。

途端にシンと静まり返った部屋に、テレビの音だけがやけに大きく響く。

残された俺は、未だに固まったままの神楽に視線を戻して途方に暮れた。

確かに突然過ぎたかもしれないが、返事どころか何の反応も見せてくれないのはさすがに泣きそうになる。

「…神楽、好きだ。」

試しにもっかい言ってみた。

「……っ!」

今度はピクンと体が動いたかと思うと、見る見るうちに顔を赤く染めていく。

おまけに俺と目が合った瞬間、箸を取り落として慌てる姿。

…何コレ、スゲー可愛いんだけど。

ニヤける口元を押さえながら、ゆっくりと一歩ずつ距離を詰めていく。

細い腕を掴まえると、泣きそうな青い目と視線がぶつかった。

そっと体を抱き寄せ、あやすように背中をポンポンと叩いてやると、神楽はおずおずと俺の背中に腕を回す。

そうして着流しに真っ赤になった顔を埋めながら呟いた言葉に、俺は小さく笑った。

「…今日の占いは大当たりアル。」


『さそり座のあなた、今日は恋愛運が好調です。意中の人と想いが通じあうかも。』




end. 
 

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