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□Which!?
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― 坂田銀時の場合 ―



「わぁ、綺麗アル!」


「こんな所にこんな綺麗な泉があったんですねー。」


「おー、ちょうど良いわ。喉渇いてたんだよ、俺…」


そう言って水際にしゃがもうとした瞬間。


「おわっ!?」


銀時はうっかり足を滑らせて、大きな水しぶきをあげながら泉に落ちてしまいました。


「銀ちゃんっ!?」

「銀さんっ!?」


慌てて2人が泉を覗き込むと、突然水柱が上がって中から白い服を身に纏った女性が現れました。


「「!?」」


驚いて目を見開いている新八と神楽に、その女性は柔らかく微笑んで言います。


「私はこの泉の女神です。」


呆然とする2人をそのままに、女神は続けてこう言いました。


「あなた達が泉に落としたのは、『金』の坂田銀時ですか?それとも『銀』の坂田銀時ですか?」


「…は?あ、あのっ、どういう事ですか?」


困惑気味に新八が尋ねると、女神はやはり柔らかい微笑みを浮かべたまま答えました。


「あなた達は先程この泉に坂田銀時を落としましたね?」


「…イヤ、落としたっていうか…あの人が勝手に滑って落ちたんですけど…」


「その落とした坂田銀時というは『金』の坂田銀時ですか?それとも『銀』の坂田銀時ですか?」


「イヤ、だからさっきから言ってるその『金』とか『銀』っていうのは一体何…」


「『銀』アル!!」


「!?」


慌てて新八が後ろを振り向くと、神楽が勢いよく手を上げていました。


「か、神楽ちゃん!」


「新八ィ、何でさっさと答えないアルか?銀ちゃんは銀髪だから『銀』の坂田銀時ネ!」


神楽は自信満々に言い放ちます。


しかし、女神は悲しそうな顔をして首を小さく横に振りました。


「…残念ですが、あなた達に坂田銀時を返すことはできません。」


「「えっ!?」」


「あなた達は嘘をつきましたね?」


「何言ってるネ!嘘じゃないアル!!だって銀ちゃんは銀髪だから『銀』で合ってるネ!」


「ちょっと待って、神楽ちゃん!ひょっとしたら…」


新八は恐る恐る尋ねてみました。


「あ、あの…女神さん、もしかして僕達が落としたのは『普通』の銀さん…ですか?」


「ええ。あなた達がこの泉に落としたのは、死んだ魚のような目をした全くやる気のない『普通』の坂田銀時です。」



((それって普通じゃないんじゃ…))


新八と神楽は一瞬そう思ったけれど、口には出しませんでした。


口を噤んだ2人を見て反省したと思ったのか、女神はニコリと微笑んで言いました。


「今回は特別に許しましょう。あなた達に死んだ魚のような目をした全くやる気のない『普通』の坂田銀時を返します。」


「「!」」


その瞬間、再び泉に水柱が上がりました。


「わっ、何アルか!?」


「うわっ!?」


水柱が消えて2人が目を開けると、そこにはもう女神の姿はなく、代わりに水際に銀時が倒れていました。


「…銀さんっ、大丈夫ですか!?」


「銀ちゃんっ!!」


こうして銀時は無事2人の元に戻ってきたのでした。



めでたし、めでたし。





「…どこも変わってないアルか、銀ちゃん。」

「え、何?心配してくれてんの、神楽ちゅわん?銀さんならこの通り大丈…」

「…チッ、つまんないネ。私、金色の銀ちゃん見てみたかったのに。」

「ちょっ、神楽…!?」

「僕だって全身が金色と銀色の銀さん見てみたかったな…まぁ、ほんと無事で良かったですよ、死んだ魚のような目をした全くやる気のない『普通』の銀さん。」

「オ、オイィィィ!?」




end.
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