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□強敵現る!?
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最近というかこの数日、かぶき町を歩いてると、身に覚えのないことについて話しかけられることがある。

その話には決まって神楽が出てきた。

例えばある奴は、昨日俺が神楽と仲良く並んで歩いているのを見かけたと言う。

だが、俺は昨日は万事屋から一歩も出ていない。

二日酔いと必死に戦っていたからだ。

またある奴は、一昨日に団子屋で仲良さそうに話している俺と神楽を見たと言う。

だが、俺はここ最近団子屋には一度も行ってないし、そもそも今の俺には団子屋に行く金もない。

おまけにツケもだいぶ溜まっている。

他にも、公園で仲良さそうに定春の散歩をしていただとか、駄菓子屋で仲良さそうに菓子を選んでいただとか。

…誰だよ、それ。

全部俺じゃないんだけど。

しかも、どれも神楽と"仲良さそうに"してたっつーのが気に食わねェ。

ついさっきだって、たった今俺と神楽を公園で見かけたばかりだと、長谷川さんに不思議な顔をされた。

「え?見間違うワケないじゃん…イヤ、声はかけなかったけど。だって何か2人で楽しそうに話してたからさあ…」

オジサン、気ィきかせてあげたんだよー、なんてニヤニヤしながら話すグラサン。

それに軽く殺意を覚えつつ、今はそれどころじゃないと、すぐさま公園へ向かった。

俺を差し置いて神楽と仲良さそうにしてるだなんて、一体どこのどいつだチクショー!!

神楽もどういうつもりで俺の偽物なんかと…

頭の中が怒りと疑問だらけになりながら走っていると、不意に名前を呼ばれた。

「あ、銀ちゃん!」

声のした方へ顔を向けると、そこに立っていたのは神楽と。


「何だ貴様、腑抜けた顔は相変わらずのようだな。」


何故か俺と同じ格好をした白血球王だった。


「なっ、何でテメーがここにいんだ!?それにそのカッコ…」

木刀は持っていないものの、今の白血球王の姿は俺と全く同じだった。

道理で皆が俺と間違うハズだ。

「ああ、コレ?あのコスプレみたいな服じゃ目立ちまくるから、銀ちゃんの貸してあげたネ。」

「俺はあのままでも構わなかったのだが…それに何だかこの服は着慣れなくてな。変じゃないか?」

「全然。よく似合ってるアル!」

「そ、そうか…?」

「ウン。」

…え?何コイツら、俺ほったらかしですか?

しかも何か良い雰囲気だし。

オメーは何でちょっと誉められただけで顔赤くなってんだ。

「…つーか、たまの中にいるテメーが何でここに?」

「…ゴホン、たま様の体は今メンテナンス中でな。その間に俺に休みをとるようにとおっしゃって下さったのだ。」

「で、源外のじーさんがせっかくだから外の世界を楽しんできたらどうだって体を大きくしてくれたネ!」

「…ふーん。」

「って、アレ?銀ちゃんに話してなかったっけ?」

「…聞いてない。」

2人共おんなじ顔だから銀ちゃんがいないの気にもしなかったアル、なんて笑う神楽に決して悪気はないんだろうけど。

その思わぬ攻撃に俺のハートは大ダメージを受けた。

「それで私が外の世界をいろいろ案内してあげてたネ。って言っても、かぶき町だけしか案内できなかったけどナ。」

「何を言う。この数日間、十分に楽しませてもらった。ありがとう、神楽。」

「私も楽しかったネ!」

ああ、ほらまた何か2人だけで良い雰囲気になってるし。

「もしまた機会があれば、その時も案内を頼んでいいか?」

「まかせるアル!」

「…………。」

何か面白くねェ。

ひょっとしてコイツら、俺の存在忘れてんじゃねェの。

「もちろん今度は貴様も一緒に案内してくれるのだろう?なァ、兄弟?」

「!」

否、忘れちゃいなかった。

…全く、コイツは一体どこまで分かってんだか。

俺の、そして、テメー自身の気持ちに。

イヤ、きっと何も気づいちゃいねェんだろうな。

だからこそ厄介なのかもしれねェんだが。


「……ああ、楽しみにしとけよ。」


とうの昔に自覚した俺と。

まだ自覚していないコイツ。

一体どっちが神楽を射止めるのか。


当然、俺は負けるつもりはねェが。

どちらにせよ今のところ確かなのは、その結果が出るのはまだ当分先だということだけ。




end. 
 

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