memorial

□If...
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"もし"なんて仮定に意味はないのかもしれない。

だけども考えずにはいられない。

ねえ、銀ちゃん。

もしあの時、私が自分の気持ちに気づいていたなら。

そしたら、今の私達の関係は変わってたのかな?



「…なァ神楽、もし俺がお妙に告白されたっつったら…お前どうする?」

それはいつもの昼下がり。

ソファーに2人揃って座りながら昼ドラを見ていると、銀ちゃんが突然呟くように言った。

「…とうとう頭の中まで糖分にやられてしまったアルか。吐くんならもっとマシな嘘にしろヨ。」

当然私はそれを質の悪い冗談だと思ったけど、返ってきたのはいつになく真面目な口調だった。

「……嘘じゃねェよ。」

静かにただ一言。

だけどその一言だけで、私は銀ちゃんが嘘を吐いてないと確信できた。

それと同時に、何故か急に万事屋が静まり返ったように感じた。

テレビの音がやけに大きく聞こえる。

「…………。」

何も言わずただ真っ直ぐに見つめてくる銀ちゃんに、私は何となく居心地の悪さを感じながらも口を開いた。

どうして私にそんな事を言うのか、少し引っかかるところはあったけど。

「……良いんじゃないアルか。」

「…………。」

「アネゴ 美人だし、料理はその…アレだけど、優しいし…」

言いながら私は何故か自分に違和感を感じていた。

アネゴは同性として自分の憧れの存在だし、その言葉に偽りなんてない。

なのに感じる違和感。

その正体にこの時の私は全く気づけなかった。

だけど、銀ちゃんがしばらくして「そうか。」と静かに答えて視線を逸らした時、一瞬だけ胸が痛んだ気がした。
 
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