memorial
□a rainy day
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放課後。
帰りまでには止むだろうと思っていた雨は、衰えを見せずに降り続けていた。
(あー、どうすっかな…)
昇降口で外をボンヤリと眺めていると、後ろから声をかけられる。
「銀ちゃん!」
振り返るとそこには腰に手を当てて踏んぞり返った神楽の姿。
「私の傘に入れてほしかったら、酢昆布3個で手を打ってやるヨ。」
「……イヤ、結構デス。」
「ムッ、せっかくこの神楽様が傘に入れてあげるって言ってるアル。ありがたく酢昆布5個上納して入ってけヨ、銀ちゃん。」
「…何でそんなに偉そうなの?ってか、何気に数増えてるし。」
「まぁ、今のは冗談で…」
「………。」
全く冗談に聞こえなかったというツッコミは、あえて心の中だけに留めておく。
「銀ちゃん、一緒に入ってくダロ?」
首を傾げて自分を見上げてくる神楽に、銀時は思わずドキッとした。
「あー…イヤ、俺は走って帰るから…」
「遠慮するなヨ。銀ちゃんらしくないネ。」
「別に遠慮なんかしてねェよ。それに1つの傘に2人じゃ狭いだろーが。」
「私は別に平気アルヨ?それに濡れて帰るよりはマシアル。」
ネ?と再び首を傾げるその仕草に、銀時の鼓動は一層速くなる。
「…いいって。俺の事は気にすんなって。な?」
「………。」
「ホラ、アレだ。よく言うだろ?"水も滴るいい男"って…」
「………銀ちゃん。」
気がつくといつの間にか神楽は俯いていた。
「…な、何だよ?」
「…そんなに私と同じ傘に入るのがイヤなら、はっきりそう言えばいいネ。」
「えっ、あー、イヤ、そうじゃなくて…」
しまったと思った時にはもう後の祭りで。
「…っもういいアル!」
案の定、神楽は頬を膨らませて怒ってしまった。
(ヤベ…)
頭を掻きながらどうしようかと思案していると、不意に後ろから声をかけられた。