memorial

□a rainy day
1ページ/3ページ


「オイオイ、マジかよ…」

窓際の一番後ろの席。

銀時は頬杖をつきながら小さく呟いた。

視線の先、窓の外はさっきまで晴れていたのが嘘のようなどしゃ降り。

今朝の天気予報では雨が降るなんて一言も言ってなかった。

「ホーラ、やっぱりあの女の天気予報はアテにならないネ。」

隣に目をやると、そこにはホラみろといった表情の神楽が同じように頬杖をついて窓の外を眺めていた。

「だから傘持っていった方がいいって言ったのに。」

「………。」


『銀ちゃん、今日は午後から雨が降るって言ってたから傘持っていくヨロシ。』

『あ?いらねーって。だって結野アナが今日は一日中晴れだっつってたもん。』

『…銀ちゃん、あのバツイチ女と可愛い幼なじみの言うことどっちを信じるネ?』

『あん?そりゃあ、モチロン結野アナに決まってんだろーが。それにオメーは可愛くなんかね…ウゴォッ!?』

『何か言ったアルか?』

『…い、言ってません。』


今朝の神楽とのやり取りを思い出し、銀時は殴られた左の頬をさすりながら心の中で苦笑した。

「銀ちゃん?」

不意に、青い大きな目に顔を覗きこまれる。

「…っ今日はたまたまハズレただけだっての。」

慌ててそう言うと、「往生際が悪いアルナ。」と呆れた声が返ってくる。

「……うるせェ。」

銀時は舌打ちを一つして視線を再び窓の外へと移すと、神楽に気づかれないように小さくため息をついた。

(…あーあ、俺ってつくづく素直じゃねェ…)
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ