memorial
□君じゃなきゃ。
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「神楽。」
不意に名前を呼ばれる。
私の大好きな声。
声の聞こえた方に目をやると、思った通りそこには銀ちゃんが立っていた。
「銀ちゃん。」
「やっぱここにいたのか。」
銀ちゃんは目を細めて私の頭を撫でると、隣に腰を下ろした。
「銀ちゃんも散歩してたアルか?」
「ん?んー、まあな…っていうかお前を探してたんだよ。」
「え?」
「知らねェ間に出かけてんだもんよ。」
「…銀ちゃん、寂しかったアルか?」
ニヤリと笑いながら顔を覗き込むと、少し不機嫌そうな顔をした銀ちゃんと目が合う。
「悪ィかよ…」
拗ねたように顔を背ける銀ちゃんに思わず面食らってしまった。
銀ちゃんは相変わらず天パで死んだ魚のような目をしてて、甘いものが大好きでおまけにマダオで。
そういうとこは3年前と何一つ変わっていない。
だけど、3年前より少し優しくなった気がする。
その事を新八に話してみると、新八は眉をハの字にして困ったように笑った。
「…そうかもしれないね。」
3年前と変わらない、だけど3年前より大人びたその表情に、胸がギュッと締めつけられたのを覚えている。
3年という時間は、私にも銀ちゃんにも新八にも確かに流れていたのだ。
「…ゴメンネ、銀ちゃん。」
寂しい思いをさせて。
待たせてしまって。
「別に謝る必要なんかねェよ。」
そう言って私の頭を小突く銀ちゃんの目がとても暖かくて優しくて。
何だか泣きそうになってしまった。