memorial
□君じゃなきゃ。
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何で銀ちゃんの事ばかり考えてしまうんだろう。
何でこんなにも胸が苦しくなるんだろう。
やっとのことでその答えを出せたのは、もう銀ちゃん達に手紙を出さなくなってから大分経っていた頃だった。
もしかすると、薄情者だと思われてるかもしれない。
もしかすると、もう私の事なんて忘れてるかもしれない。
それほどに時間が経ってしまっていた。
それでも想いは日々募っていくばかりで。
伝えられない想いをどうすることもできず、毎日ただ空を見上げてばかりいた。
そんな私の背中を押してくれたのはパピーだった。
「…なぁ、神楽ちゃん。お前ももう一人前のえいりあんはんたーになったんだ。そろそろ自分のこれからの事考えてみたらどうだ?」
「私のこれからの事…?」
「ああ。もちろん、このまま俺と一緒に旅を続けるのも全然構わねェ。どうしたいかは神楽、お前が決めるといい。」
「私は…」
パピーは私の頭にポンと手を乗せて目を細めた。
「…まあ、本当はもうお前の中では答えが出てるんだろーがな。」
「パピー…」
パピーの言う通り、本当はどうしたいのかもう答えは出ていた。
自分の気持ちに気づいた時から。
忘れられてるかもしれない。
銀ちゃんに誰か好きな人ができてるかもしれない。
ただそれが怖くて踏み出せないでいた。
だけど。
『銀ちゃんに会いたい』
気がつけば傘と僅かな荷物だけを掴んで宇宙船に飛び乗っていた。