memorial
□男は語る
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…マジな話さ、自分でもいつからそうなのかさっぱり思い出せねェんだわ。ホラ、少女マンガとか恋愛物の小説とかでよくあんじゃん?気づいたら好きになってたってヤツ。そんなことある訳ねェって俺ちょっとバカにしてたけどさ、まんまアレなんだよ。いつの間にかアイツのコト目で追ってて、いつの間にかアイツのことばっか考えるようになって……って、あ?何だよ、ニヤニヤ気持ち悪ィ顔しやがって。言いてェことがあんならはっきり言えや。
…あん?……るっせェよ。つーか、そんなにめでたいってんなら今日はここテメェらの奢りな。あっ、お姉さん!生ビールおかわり!
…はぁ?そんな簡単に上手くいくかよ。これでもいろいろ悩んだんだぜ?一応俺も教師な訳だし、常識的に生徒に手ェ出しちゃマズイだろうが。なのにアイツいっつも純粋な目で銀ちゃん銀ちゃんって寄ってくっから…
……何か勘違いしてるみてェだから言っとくけど、アイツが卒業するまで手は出してないからね俺。
嘘じゃねェよ。そういうコトすんのは卒業してからってちゃんと二人で決めたんだよ。
…ああ、キスもしてねェよ。
だから一回もねェって言ってんだろ!しつけェなコノヤロー!!
……オイ、何泣いてんだ。キモイんだけど。
あん?何がよく耐えただ。つーか、テメェら偉そうに言ってっけど、あの頃しょっちゅうキャバクラに誘ってきてただろうが。ったく、人の気も知らねェでよォ……あ、つまみもう無ェじゃん。すいまっせ〜ん、枝豆とたこわさ追加で。あっ、あと牛スジね。
……は?ンなコト誰が教えるかよ。つーか、女子かテメェら。
………チッ、るっせェな…!普通だよ、普通。別に特別変わったコトは言ってねェよ。
あん?…だからァ、普通に放課後に二人きりの時にお前が好きだって……って、あーもう何だよコレ!?何で俺がこんな恥ずかしい思いしなきゃなんねェの!?つーか、ニヤニヤしてんじゃねェ!!
あ?デート?だから女子かよ、テメェらは。つーか、もういいだろうが俺の話は。
…オイ、しつけェぞ。
………ハァ、だから普通だって。普通に飯食いに行ったりしてただけだよ。もちろん場所は校区から離れたとこ選んでたけど。あとはたまに俺ん家でレンタルした映画観たりとか…そんだけだよ。
…うっせェ。何だよ、ピュアって。
…変わったかどうかは自分じゃ分からねェけど、もしそうだってんならそりゃアイツのおかげだな。……ん?悪ィ、電話だわ。
「電話、チャイナさんか?」
「みたいだぜ。今日はチャイナ娘の方も元3Zの奴らと女子会らしい。」
『おう、もう終わったのか?』
「おーおー、優しい顔しよってからに。」
「アイツ、あんな顔出来たんだな。」
『分かった、今からそっち迎えに行くわ。』
「つーか、アイツらが結婚とはな。」
「…何か人恋しくなってきたのォ。」
「おっ、じゃあこの後キャバクラ行かね?俺良い店見つけたんだけど。」
「…どうせまたブス専の店じゃろ。」
『…ん。じゃあまた後でな、神楽。』
end.