treasure
□まるで片思い
2ページ/2ページ
最初はほんの好奇心だったのかもしれない
今夜は何回、押入れの中で寝返りを打っただろう
コチコチと規則的な音が煩くて、何故だか恐くて眠れない
こんな夜、暗い押入れの中にいると、世界で一人ぼっちになったようで不安になる
そんな事、有り得はしないのに
戸を開けて、狭いソコから這い出る
確認するだけでいいのだ
自分が一人じゃないのを確認するだけで。
変に緊張して和室の戸をソッと開く
中には静かに寝息を立てて寝ている男の姿
それに酷く安心して、戸もそのままに部屋の中へ
男の隣にしゃがみこむと自然、目につく銀ちゃんの顔
通った鼻筋に薄い唇、あぁ、喋らなければ良い男なのに
身動き一つしない銀ちゃんが生きているのか心配になって、肌蹴て見えてしまっている胸にキスをした
ドクンと唇から伝わる心臓の音に、良かった生きてたと安堵して、顔を上げる
唇から熱が移ったのか頬が熱い。
銀ちゃんが起きていない事を確認して、足音を立てないように和室を後にした
眠れない夜は、またこうして来よう
バレないように
それまで この行為を続けよう
この秘密の習慣を お互い知る事になるのは、もう少し後のこと
まるで片思い