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□<カミナガ様より>相互記念『僕と君のメッカ』
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僕と君のメッカ

ルチ→パウ 馴れ初め



太陽がまぶしい。
闇に生きるルッチにとって、太陽とは何ともありがた迷惑な存在だ。大地に生きとし生けるものにとってそれは必要不可欠なものだが、転じて言えば暗闇の中で秘密裏に血塗れた仕事をこなすことで命を買っている彼らサイファーポール、特にナインのメンバーにとっては、非常に微妙な位置で扱われている。唯一の女性であるカリファに言わせれば「無駄な日焼けをするだけじゃなくて癌を誘発する、ただの困りものなのよ」とあっけなくあしらわれる。ルッチとて扱いはその程度だったが。
今回の任務は長期だった。既に手配済みの船大工と言う職業と住まいを思うとため息が出る。これから最長でも五年間は、こんな生ぬるい場所で、しかも大嫌いな海に囲まれた小さな島で生活しなければならないのだ。全く、あの役立たずな長官も下手な仕事を押しつけやがって、と眉間に深く皺が寄った。


「そこの、新入りの!」


積み上げられた木材の上で足を組みながらぼうっとそんなことを考えていると、いつものようにあの声が聞こえてくる。またか、と思いながらルッチは声の主を見遣った。額にゴーグル、金髪に無精髭と青いつなぎというスタイルの、よく目立つ職人の一人だ。
情報によれば今回の任務のターゲットである人物、アイスバーグの弟子で、その信頼度は高い。使いようによってはこちらにとって好都合な方に転がるので変にいい加減な対応をしてもいかず、かといって性格上友好的になれるという訳でもないので、その人物―――もとい、パウリーという男は、苦手なタイプだった。


『仕事はしてるッポー』
「アハハハッ!また出たよ、その変な裏声の腹話術」
『うるさい』


快活にルッチを笑い飛ばしたパウリーは、口に銜えていた葉巻を指に挟むとルッチの隣に並んで座って、世間話をする体制に入る。なんだコイツも暇なのか、と思いながら適当に相槌を打っていると、政府の話が持ち上がって少々驚いた。
話はぐだぐだと時間を潰すように長ったらしかったが、簡潔にまとめると「政府の役人はアイスバーグさんを困らせるから煩わしい、かと言って反感を買うようなことをしたら立場が悪くなるから自粛しているんだけど」だ。
どれだけアイスバーグという人間を慕っているのかと尋ねれば「親父みたいだな!」と答えるあたり恋愛感情はないのだろうが、それでもルッチは何か気に食わなくて持っていた金槌でパウリーの頭を殴った。その奇行に痛みよりも驚きで目を見開いたパウリーは、はぁ?!とか、なんでルッチに殴られなきゃなんねえんだよ!とかしばらく騒いだ後、やっと患部の後頭部をさすって痛い痛いとぶつぶつ愚痴りながら、何が気にくわなかったのかと聞いてきた。特に何の理由もなかったのでその旨を正直に答えてやると、どこが面白いんだかまたあの何もかもを吹き飛ばすような笑いをこぼした。
それから政府についてどう思う?とルッチに質問を投げかけてきたので、『そうだな、ルッチも面倒臭いとは思うが、仕方がないんじゃないか』と曖昧に答えてやると、パウリーはしばらく考えるように首を傾げて、ふと「何抱えてんだか知らねえけどよ、」と前置きしてから言った。


「お前、自分にウソつくなよ」


ああ全く、本当に。
「それじゃ」と言い残してから紫煙をくゆらせつつその場を立ち去る後姿が見えなくなった頃、ルッチは雲一つない空を再び見上げて、ちいさくため息をつく。
太陽がまぶしいのは理屈で分かる。太陽がまぶしくて任務に集中できないということもない。けれど、これは恐らく違う。理屈ではどう解釈すればいいのか分からないし、気を抜けば任務に支障をきたしかねない問題だ。
パウリーだけがひどくまぶしくて、ルッチは困った。何かが心臓を誤作動させているんじゃないかと思うほど、困った。






おしまい


ぎゃぁぁぁ!ぶわっちぃぃぃぃぃぃ!!!相互にビックリしてコーヒー溢した!畜生このコーヒーめ!ガシャーン!
ハアハア…とうとうやってのけた…カミナガ様との相互許可を頂いた!更にこんな素敵な文章まで頂いた!
私のアバウトな設定がここまで洗練されたものに仕上がるとは…
才能に脱帽しっぱなしで脱毛が始まりましたぁぁぁ!!
カミナガ様ありがとうございました&こんな野郎をこれからもよろしくお願いします!

持ち帰りは厳禁んんん!!



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