tog

□Whitest... 3
3ページ/5ページ


「俺は」

意を決して言葉を吐き出そうとした時だった。

「…あっ、ごめん」

急にアスベルの携帯が鳴り、ムードも何もあったもんじゃない。
握られていた右手を解いて、溜息を零しながら携帯を開く。

「もしもし、」
『やぁ、アスベル』
「…リチャードかよ、」

この前から何なんだ、こいつはと思いながら要件を聞く。

「何?」
『いや、今、君の家にいてね』
「はっ、聞いてないぞ!?」
『だって、言ってないもの』

きっと電話口でにこにこしてるんだろうな、と思うと少し腹立だしくなってくる。

『前に僕の言ったこと、覚えてるかい?』
「…えっ、まぁ、」

もたもたしてると僕が貰っちゃうよ?という意味深な言葉。

『…やっ、リチャード、』
「…えっ?」
『ふふ、すごく甘いね』

電話口に聞こえた声。
不敵に笑うリチャードとはまた別に、困ったような幼い声…ソフィの声が聞こえる。

「おい、リチャード…」
『何?』
「何じゃな…」
『あっ、アスベルは今日、帰ってこないよね?』

なら、いいよね、とクスクス笑う声。
待て、というアスベルの声を無視して切られた電話。

「おい、リチャード!!待てよっ、おいっ!!」

電話口に怒鳴ってみても、ツーツーという無機質な機械音しか聞こえない。





.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ