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□おそろい
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「アスベルとわたし、おそろいのもの持ってないから、その…」
あぁ、そういう事か、と思い、アスベルは少し可笑しくて笑ってしまった。
「アスベル?」
「うんん、いきなり何かと思って」
おそろいのものが欲しいなんて、ソフィも女の子なんだな、と思った。
昔の彼女なら、こんな事は言わなかった…というより、ここ最近になってから感情をぶつけてきてくれることが嬉しい。しかし、彼女はそれに相変わらず戸惑っているようだが。
「…おそろいのもの、ねぇ、」
何かないかな、と思い、お互いの身の回りを見渡してみる。
しかし、お目当てのものはなかなか見つからなくて。
「…ない、のかな?」
「どうだろう…あっ、」
ふと、彼女の顔を見た時に目に留まった紫陽花のような薄紫色の瞳。
以前の自分は空の様な色の瞳だったが、ラムダが眠っている今は、片方だけソフィと同じ瞳の色となっている。
「どうしたの?」
見つけたの?と不思議そうにこちらを見るソフィに微笑みかけながら、目線を合わせる。
「瞳の色」
「…目?」
「そう、」
おんなじ色、と言いながら、自分と彼女の瞳を交互に指し示した。
「…ホントだ!!」
「おそろい、見つかったな」
そう言って微笑んでやれば、うん、と嬉しそうにソフィは縦に首を振って微笑んだ。
おそろい
(誰にも真似できない)
(わたしと俺だけの)
(おそろい。)
end.