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□悪戯好きな君は
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「アスベル、読み終わったよ」

はい、とアスベルから借りた小説を返せば、どうも、と言ってそれを受け取る。

「それにしても、リチャードもこういうの読むんだな」
「恋愛小説かい?」
「あぁ、」

俺にはよくわからないが、と言いつつ、小説をアスベルの隣にいたソフィに渡す。
するとソフィはそれを持って部屋を出ていった。

「あの本はアスベルのじゃないのかい?」
「俺が持ってる訳無いだろ」

母さんのだよ、と苦笑しながらアスベルは僕の隣に座った。

「ケリー様って、ああいうのが好みなのかな?」
「ああいうのって?」
「…いや、少し言いにくいかな」

そう言って僕がごまかせば、教えてくれよ、とアスベルがせがんできた。
流石に今回の内容を話すわけにはいかなくて、適当に笑っていれば、何かをひらめいたかのようにアスベルはにやりと笑った。

「教えてくれないんなら、」

力ずくだ!!と言ってアスベルは僕をソファに押し倒した。

「…ふふ、」
「な、何だよ」

アスベルはわかってないな、なんて思ったけど言わないことにしておいた。
普通ならドキドキしたりするのに、何だろうか…仔犬にじゃれられている気分に近い。
そんな僕の考えなんて知らずに首を傾げる目の前の彼。

「いや、何でもないよ」
「だったら…っ!!?」

肩に置かれている手を軽く引っ張れば、アスベルはバランスを崩して傾く。
その瞬間を逃さずに、彼の唇を奪ってやれば、驚いたように青と紫の瞳を見開いた。

「形勢逆転だね」

キスをしている間に逆にアスベルを押し倒してやれば、しまった、という顔をしてこちらを向く。

「僕に勝てると思ったの?」
「…うっ、」

どうやら図星だったらしく、ぷい、と横を向いた。

「…小説の内容、知りたいんだよね?」

そう言って意地悪く笑ってやれば、何かを察したのか彼は渇いた笑いを浮かべた。

「リチャード、待っ…」
「待ったなしだよ」

アスベルが悪いんだから、と彼に責任を押し付けて、もう一度唇を塞ぐ。
さっきより、深く長いキスをおくってやった。
















悪戯好きな君は

(言葉で言うよりも、)

(身体に言った方がわかるよね?)






end.
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