FF6 15_Title_Novel -tragic love-

□2◆指が、離れた
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夜中に降り積もった雪が、一面の銀世界を作り上げた。

少女は温室で手厚く育てられたバラの花を一輪持ち出し、中庭の中央に鎮座する噴水の脇に佇む。
そして雪のように白く悴んだ指先で、一枚、また一枚と花弁を落とす。
純白の雪に、真紅の花弁が散る。

「上着も着ないでなにしてるの?」

かけられた声に振り返ることも無く、一枚、また一枚と花弁を落とす。
感情の篭らない氷の瞳は一点を見つめたまま、白く血色の無い唇が静かに動く。

「母さまが死んだときみたいに綺麗でしょう」

純白に真紅が散る。

「・・・戻ろう」

青年は少女の手を引いた。
不意に振り解かれる。
指が、離れた。
彼女の心は溶けることを知らない。
 


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