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□dear
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「…えぇ!?」
携帯の受信音を聞いて思わずあむは声をあげる。
この受信音は個別設定された唯一の曲…―
「イクト…」
何か月ぶりだろう。
しゅごキャラが自分に戻ってから、1年が経とうとしていた。
…ということは、イクトが旅にでてからもう1年経つんだ。
あむは遠い昔のように記憶を辿る。
(メアド、変えなくてよかった…)
携帯を両手で包みながらホッとした。
そして、勇気を振り絞ってメールをみる。
………たった一文。
『今日の月は綺麗だな。』
「……へ?」
意味がわからず、部屋の窓から夜空を見上げる。
確かに今日はよく晴れていて、キレイな月である。
(あ……。)
そうか、とあむは納得する。
このキレイな月を共有したかったんだ…。
―…ガラッ
あむは窓を開けてベランダへと出る。
空気が冷え澄んでいて、上着をはおっていても肌寒い。
柵に手をおき、今度はゆっくりと想いを乗せながら月を見上げる。
「…イクト」
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