***

□dear
1ページ/5ページ




「…えぇ!?」

携帯の受信音を聞いて思わずあむは声をあげる。


この受信音は個別設定された唯一の曲…―



「イクト…」



何か月ぶりだろう。
しゅごキャラが自分に戻ってから、1年が経とうとしていた。

…ということは、イクトが旅にでてからもう1年経つんだ。
あむは遠い昔のように記憶を辿る。



(メアド、変えなくてよかった…)


携帯を両手で包みながらホッとした。


そして、勇気を振り絞ってメールをみる。




………たった一文。



『今日の月は綺麗だな。』





「……へ?」
意味がわからず、部屋の窓から夜空を見上げる。

確かに今日はよく晴れていて、キレイな月である。



(あ……。)


そうか、とあむは納得する。

このキレイな月を共有したかったんだ…。



―…ガラッ

あむは窓を開けてベランダへと出る。
空気が冷え澄んでいて、上着をはおっていても肌寒い。


柵に手をおき、今度はゆっくりと想いを乗せながら月を見上げる。

「…イクト」



.

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ