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□約束
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「イクト、明日誕生日なんだ。」
意外な言葉に思わずイクトを見つめる。
イクトはそっと亜夢の左頬に触れ、見つめ返す。
「そ。だからあむ、お祝いして?」
「! ぉ、お祝いって…何すればいいわけ?」
何だか恥ずかしくなり、亜夢は下を向いた。
イクトが触れている箇所が熱い。
「んー……あ。」
思いついた、と頬からあごへと移動させ、少し持ち上げる。
「キスがい…"ポカッ!!"
言い終わるか終わらないかというタイミングで、イクトの頭に拳が降ってきた。
「…イタイ。」
「信じらんない!真面目にきいた私がバカみたいじゃん!!」
顔を真っ赤に染めて、猛烈に怒る。
「…冗談だって。そんなおこんなよ。」
今にも再度振り下ろされそうな右腕を静止させ、顔を近付ける。
腕を掴まれた亜夢は振り下ろすことを諦めた。
「…じゃあ、何をすれば…て、カオ近いッ。」
"ぺしっ"と反対の手でイクトの頭をはたく。
イクトは亜夢の攻撃に怯むことなく、そのまま肩へともたれる。
「……一日中あむと一緒にいたい。」
ダイレクトにイクトの声が響き、全身に血が駆け巡る。
吐息が耳にかかり、さらに赤くなった。今ならリンゴにさえ勝てそうだ。
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