みじかいの

□悪気はないんです
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本日快晴。爽やかな青空を見上げながら、私は佐助が淹れてくれたお茶を啜る。ほっ 、と一息つくと、暗い表情をした弟、幸村が私の目の前に立ち塞がった。


「姉上、」

『ん?なに?』

「政宗殿へ嫁ぐというのはまことでございますか?」

『ぶふっ!!』


吹いた。お茶吹いちゃったよ。衝撃発言だな、おい。…え?ていうかなにそれ。私、 そんなこと聞いてない。何処情報だよそれ。


「政宗殿がそう言っておられたでござる」

『ぶっ殺してトリコのご飯にしてやろうかあのクソ竜』


人を疑うことを知らない、純粋な幸村はなんでも信じてしまう。そんな幸村を面白が ってあのクソバカ竜は色々と教えるわけだが…ぶっちゃけやめて欲しい。


「姉上、考え直して下され!姉上が嫁ぐ相手としては政宗殿は申し分ない相手ではあ りますが、政宗殿に嫁いだら毎夜あんなことやそんなことや、こんな恥ずかしいこと まで…」

『待て待て待て待てぇえっ!!破廉恥は?破廉恥はどうしちゃったの!?』

「それだけでなく(ピー)を(ピーー)で(ピーーー)されたり…」

『やめろ…やめてくれぇええっ!!』


確かに政宗はアブノーマルなプレイが好きそうだけれども!!そんな破廉恥な発言する なんて幸村じゃない!つーか政宗に嫁ぐくらいなら一生独身のがマシ!


「姉上は某と政宗殿とどちらが大切か!?」

『なにそれ。なにその、仕事と私とどっちが大事なのよ!、って感じの台詞は。 なにを言ってるのか姉上には理解出来ません!』

「どちらが大切か!?」


UZEEEEEEEッ!!いかん、殺意が湧いてきた。堪えろ、堪えるんだ私っ…!


『幸村のほうがダイジ』

「なれば政宗殿へ嫁ぐ話はなかったことに!」

『なかったもなにも、そんな話元からないからね。政宗の狂言を真に受けるんじゃな いよ』


大体、嫁ぐならこの人!って決めてるんだからね私は。


「なんと!?決めた相手がいるとは…何処の馬の骨でござるかぁあっ!?」

『なんで読心術とかいらない技を身につけてんだてめーはぁああっ!!』


佐助か。佐助が教えたのか?あンの派手忍者め余計なことを教えやがって。あとで裏 蓮華くらわしてやる。


『幸村、よく聞きなさい。いい?いくら読心術が使えるとは言え、女性の…それも可 憐な乙女の心を勝手に読んじゃダメ』

「可憐な乙女?」

『そう、可憐な乙女』


すると幸村はきょろきょろと周りを見始め、首を傾げ、不思議そうな顔をして爆弾を 落とした。


「姉上、何処を見ても可憐な乙女など見当たらな、」

『そこに直れ、今すぐ叩っ斬ってやらァ』

「え、姉う……ぬぁああああっ!!」






悪気はないんです
(素直すぎるのも考えもの)






(政宗殿…姉上に可憐な乙女は何処にと聞いたら首を落とされそうになったでござる)
(刹那は可憐な乙女だろうが)
(しかし政宗殿。戦場で刀を振り回して敵を斬り殺していく姉上が果たして可憐かど うか…)
(…Ahー、天下取れそうだもんな刹那は)
(そのような姉上が果たして乙女なのか…)
(…口も悪いしな)

(てめー等、全部聞こえてんだよ)

(だ、だがそこがいい!戦国一の美女だしな!)
(そ、そこが姉上の魅力でござる!)
(調子いいこと言ってんじゃねぇええっ!!)
((ぎゃぁあああぁあっ!!))
 

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