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□水葬─終幕─
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水葬─終幕─




深い森の奥に聳え立つ隠れ家
明るい朝は神の手の中に封じ込められた
静寂が生み出すその孤独に心奪われ
少女は瞳に闇を身ごもる

十字に石を並べ静かな誓いを立てた
叶わぬ愛に捧げた心
やがて訪れる離別の運命 嗚呼
幾ら指を絡めても月は揶揄うだけ

水煙美しい暗い湖へ
心決め沈む時の儚さよ
泣き叫ぶ声が水面を揺らす
絶望を映し瞳孔が光を失い
大地と天を彷徨し 捧ぐ祈りを
神の名が轟く

月光さえ厭う水底
彷徨える体は湖水に浸食され
やがて溶けよう
黒服纏う悪魔は朝を呼ぶ

嗚呼 届かぬ彼方へ
誓いは来世で赦されるのだろうか
孤絶故 闇に擲つ精神
今宵また静水に闇が沈む






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