†お話し その2†

□ love affction IR
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「んん…」



肌寒い空気を感じ僕は目覚めた。腕を伸ばした先には愛する人の温もりを見つけられずにふと寂しくなる。そっとシーツを手繰り寄せると、君の香りがする。


―明日は大事なライヴだから、今夜は帰るよ。りゅうちゃんに無理させらんないからね〜俺も自信ないし♪―

僕だけに向ける優しい君の笑顔を思い出す。

「フフ…」


いつの間にか寂しさが消え、心が暖かく軽くなる。満たされた気持ちに満足すると雨の音に気付く。


「雨……。今日は大事なライヴって言ったのに、いのらんてば(笑)」


まるで君が降らせたかのように呟くと外を見たくて窓の方へと立ち上がる。


………?


体に気怠さが残っている…心なしか喉も違和感が…最近の多忙なスケジュールで疲れが溜まっていたのかもしれない…昨日まではなんともなかったのに。いのらんに連絡をしようと携帯を手にし、暫く考えた後止めた。
いのらんの事だからすごく心配するだろう…きっとライヴどころではなくなってしまう。


「んんーあ〜〜♪…」


声を出してみるとそんなに調子が悪い訳ではない。

―最高のライヴにしよ!―

また君の笑顔を思い出す。自然と顔が笑みになっていくのが分かる。


「うん…最高にしようね…」

不安を全て拭い去ることは出来なかったが、君に逢えば跡形も無くなるだろうと気持ちを落ち着かせ部屋を後にした。
君の優しい微笑みを自分で無くしてしまうコトにも気付かずに…
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