†お話し その1†

□ eternal sonata IR
1ページ/1ページ




僕は囚われた



キミの真っ直ぐな瞳に



キミは罪を侵した



僕を繋ぎ止め放さない





スタジオ入り時間に遅れそうで急いで向かうと
入り口近くの植え込みから鳴き声が聴こえた



「?」



覗いて見ると子猫が箱の中で鳴いている



「捨てネコ…お前独りなの?」



そっと優しく抱き上げて
顔を見ると
小さくナァ〜と甘えた鳴き声を上げる



クスッ(笑)なんかいのらんみたい♪
瞳なんか吸い込まれそう…



「独りなら一緒にくる?」



子猫に優しく微笑み
一緒にスタジオに向かった




「みんなおはよー♪」



「りゅうちゃんおはよー♪珍しいね〜遅れるなんて♪」



いのらんが笑顔で迎えてくれる



「うんちょっと道が混んでてーそれに♪この子」



そう言ってみんなに猫を見せると
潤くんが子猫つつきながら聴いてくる



「うお何こいつ♪りゅう拾ったのか?」



「うん入口の所に居たんだ〜独りぼっちだったから
連れて来ちゃった♪」



「りゅうあんま家に居ねーのに飼えんの?」



杉ちゃんが興味無さげに
痛いとこを突いてくる



「え?誰か飼ってくれないの?」



そう言うと全員に溜め息を突かれてしまう



「俺はパスだぜ」



「そうだねー俺もムリかな」



潤くんと杉ちゃんにはあっさり断られる
真ちゃんは?と見つめると



「俺んちは犬いるしな〜」



やっぱり断られる
後一人 いのらんが飼ってくれれば一緒に世話も出来る
そう思っていのらんを上目遣いで見ると
ニコーっと笑う



「俺もムリ〜手の掛かる可愛いい犬(りゅうちゃん)がいるから♪」



「それ僕のコト?」



そう言われてむーっと
口がアヒル口になる
剥れていると杉ちゃんが
助けてくれた



「その子猫ロシアンブルーっていう猫みたいだね〜
イイ猫だからすぐ飼い主見つかるでしょ♪
イノランお願い聴いてあげたら?」



杉ちゃんに便乗してお願い?といのらんを見つめる



「……しょうがないな〜
見付かるまでね?」



「ありがとう〜いのらん♪」



満面の笑みで返した
さっきまで独りぼっちだったのに
また誰のトコにも行けないなんてそんなコト
僕は放って置けなかった








「いのちゃんおいで〜♪」


見慣れない部屋に様子を
伺ってる子猫を呼ぶと
不服そうに僕の隣に座る



「……何その名前」



「ん?だっていのらんに似てるから〜いのちゃん♪」



ニコッと微笑む
そうするといのらんも必ず笑ってくれる



「でーその猫と俺ドコが似てんの?」



髪を優しく撫でながら聴いてくる



「んーとね〜柔らかい毛並みと〜瞳かなぁ…真っ直ぐなんだけど寂しそうに見える」



「…あんま喜べないんですケド?」



いのらんの瞼を
指先でなぞりながら
ほぅっと溜め息をつく



「キレイな…瞳…」



するとその指を絡めとり
キスをくれる



「時々いのらんてさ〜寂しい顔する時あるんだよ〜
知ってる?」



「そうかな?」



口角を上げてキミは笑う



「そういう時の瞳は冷たい瞳をしてる…
本当は誰も映ってないんじゃないか…
もしかしたら僕も居ないんじゃないかって
不安になる」



少し不安になって
泪が出そうになる
すると腕を引寄せられ
いのらんの胸の中に
抱き締められる



「…りゅうちゃん…
不安にならないで…
俺にはりゅうちゃんしか映ってないよ?
これから先も一人だけ」



苦しそうに呟いて
強く抱きしめられた



「…僕を…放さないでね?」



潤んだ瞳から泪が零れ落ちないように
キミに精一杯微笑む



「りゅうちゃんも俺から
離れないでよね?
というか放す気なんて
さらさらないから」



僕を安心させるように
クシャッと笑って頭を撫でる
その笑顔は
僕の一番好きな顔
愛しさが溢れる
僕はとびっきりの笑顔で
キミに伝える



「いのらん…愛してる」



「俺も…りゅうちゃんだけ愛してる」



見つめあい口付ける
そのまま熱く抱きしめられお互いを確かめ遇うように深く愛し合った






キミの瞳が優しさに満ちるまで
僕は笑顔で居続ける
たとえその瞳に
誰も映していなくても
ずっと傍にいさせて欲しい僕を感じていて欲しい
一人きりじゃない
二人の愛が永遠になるまで







おわり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ