†お話し その1†

□ キミの居場所 IR+ALL
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「ライヴの成功を祝って乾杯〜!!」


真ちゃんの挨拶で打ち上げが始まった
それを合図にザワザワと談笑がはじまる


りゅうちゃんはと言うと
次から次へと挨拶に来るスタッフに笑顔を振り撒いている


りゅうちゃん人懐っこいからなぁ〜
自然にみんな集まるんだよね〜


適当なトコで逃げ出せばいいのにそーゆーのはきっちりしている
だから好かれるんだろう


「またりゅうを見てんのか?よく飽きねえなぁ」


顔ニヤけてんゾ?と潤に軽く突っ込まれる


愛しすぎて口角があがり微笑んてましまう
もぅ条件反射だ…


それから潤と話をしているとご機嫌な様子で俺の元へやって来た


「いのらん♪かんぱ〜い♪♪」


「ん…りゅうちゃん♪かんぱ〜い♪♪」


「お?やっとお姫様のご登場か」


「潤くんからかうの止めてよ〜僕は男だよ〜?もぅっ僕がお姫様なら潤くんは意地悪な継母なんだから!はい!乾杯!!」


「継母かよ…」


ぷくっと頬を潤膨らませ剥れる
アルコールも入ってるせいかほんのりと紅く色づいて潤もそんなお姫様の前では敵わない


はいはい…と苦笑いを浮かべ聞いている
二人のやり取りを見てるとりゅうの呑むペースが速いのに気付いた


「りゅうちゃんあんま飲み過ぎないようにね?潤に付き合って飲まなくてもいいから」


アルコールが苦手なのに
潤のペースで飲まれたら潰れてしまう


まだこれから夜は長いのに

「え〜らって楽しいんらも〜ん♪らい丈夫だよ〜♪」


そういった瞳はトロンとして話す言葉も呂律が廻っていない


これは今夜はムリだな…


止めるのが遅かったと落胆する


「そうそう♪りゅうはお子様だからもう止めといた方がイイぜ〜♪♪」


潤も面白がってまたりゅうちゃんをからかう


するとりゅうちゃんの瞳からボロボロと涙が零れ落ちる


「りゅ、りゅうちゃん!?」

「うぅ…っく…ぅぅ…うわぁ〜ん!!」


テーブルの上に突っ伏して突然泣き出した


「じ…潤くん…は…っ僕のコト…嫌いなんだぁ〜いつも僕はからかわれて…ぅう…継母なんか嫌いだぁ!」


そう言ってまた泣きじゃくる
突然の出来事で俺も潤も驚いておろおろしている
宥めても泣きじゃくるのは止まらない


「なぁ…りゅうって泣き上戸なのか?」


「さあ?俺も初めて知った…飲み過ぎたみたいだね」

「お前保護者だろ〜?何とかしろよ〜!」


「保護者じゃなくて恋人。潤が泣かせたんだから責任取ってよ」


呑気にそんなやり取りをしていると
りゅうちゃんの騒ぎに気が付いて真ちゃんがやって来た


「何の騒ぎよ?お前らりゅうちゃん泣かして遊んでんの〜!?」


「泣かしたのは潤だから」

「わかったよ!ったく謝ればいいんだろ!?………りゅ…って泣き止んでんじゃん」


りゅうちゃんをみると真ちゃんを見てニコニコわらっている


「プーさん♪」


「ブッ!!はぃぃっ!?」


今度は突然変なコトを言い出した
真ちゃんも口からビールを吹き出す


「プーさん♪僕の為に来てくれたの〜?ふふっ嬉しい〜そうだ〜お礼しなくちゃぁ♪」


キョロキョロとテーブルの上を探して花瓶を手にする


「プーさんは〜ハチミツが好きなんだよね〜♪はいあげる〜」


「ぃや…ちょっと待てりゅうちゃん…俺は〜真矢でプーさんじゃないから!それにこれは〜ハチミツじゃなくて〜花瓶だから」


「ブハハハハハハ!!」


俺と潤は堪らず笑い転がる

「プーさん遠慮してるの?じゃあ僕が食べさせてあげるね〜♪」


そう言って無理やり口元へ押し付けている


「ちょっ!りゅうちゃん!?お前ら笑ってないで早く止めろよ!!ぅわっ!!イノラン何とかしろ!」


真ちゃんが必死に逃げ出そうとしてもがいている姿を見てまた大爆笑


「…プーさんも…僕のコト…嫌いなの?……ぅう…うわ〜ん!」


「あ〜あ、今度は真ちゃんが泣かした〜♪」


「イノラン…面白がってるだろ?」


「そんなコトないケド♪飲み過ぎのりゅうちゃんを心配してるよ?」


また、泣き止まないりゅうちゃんの頭を優しく撫でる


『俺たちを心配しろよ!』

と二人で声を揃え俺に突っ込みながらりゅうちゃんを宥める
なんだかんだいって二人も甘いのだ




††††††††††††



「さっきからお前らのトコうるさいよ〜?盛り上がったり下がったり…何してんの?」


杉ちゃんの声が頭の上から降ってきた


「お〜杉ちゃん♪りゅうちゃんが飲み過ぎちゃって大変なんだよ〜アハハハハハ」


「りゅうちゃんが〜?珍しいね〜……そんなに飲ませて何しようとしてたのかな〜イノラン♪?」


「〜別に〜いろんなコト♪」


聞かなきゃ良かったという顔で杉ちゃんは項垂れる
潤と真ちゃんが今までのイキサツを話し
今も泣き止まなくて大変なんだよと訴える


「?…りゅうもう泣いてないじゃん」


ほら…と言ってパッと起き上がるりゅうちゃんを指した
今度は何?と潤と真ちゃんが後ずさる
その光景も面白くて笑える


りゅうちゃんはそんな二人を素通りして杉ちゃんの前に行くとニコッと笑った


優しく杉ちゃんも微笑み返す
これは許しがたい光景だ


「ふふっやっと王子様が来てくれた〜♪ずーっと待ってたんだよ〜♪」


といって杉ちゃんに抱きついた


「王子様が〜継母と〜プーさんから助けてくれるんだよね〜?…あれ〜?王子様って何かするんだよね〜?何らっけ〜……あ、キスだ〜!今するからね〜んん〜♪」


といって唇を近付けて杉ちゃんに迫ってる


っ冗談じゃない!!


「ちょっ!ダメ!りゅうちゃんそれは絶っっっ対ダメ!!杉ちゃんも抵抗しようよ!!」


「…なんで?だってりゅうから迫ってくれてるのに断る理由ないし♪」


「ダメ!!りゅうちゃんも杉ちゃんから離れて!」


慌ててりゅうちゃんを引き剥がそうとするとよけいにくっついて離れない


「…いのらんまでイジワルするの?……せっかく王子様が助けてくれるのに……ぅぅっく…ぅわ〜ん!いのらんなんてきらい〜」


そう言って杉ちゃんの胸で泣きじゃくる


どうやら酔いすぎて童話の世界に入っているらしい


「あ〜あ、きらいだって〜♪」


「アハハハハハハハハどうするイノラン♪」


「最後はお前が泣かしたな♪」


三人が口々に言う
お返しといわんばかりに


離そうにもしがみついているので諦めて戻ると
りゅうちゃんがおとなしくなった


「りゅう?」


杉ちゃんが優しく声をかける


本当にムカつく光景だ
だんだんテンションが下がってくる


「まありゅうちゃんもかなり酔ってるからそう怖い顔すんなって!!アハハハハハ」


「真ちゃん…笑いはよけいなんだケド」


りゅうちゃんが杉ちゃんの腕の中で身動ぎボソッと呟いた


「?…?…何かちがう……」


すると杉ちゃんから離れ
俺の膝の上に座り
腕を首に回して確かめる様にギュッと抱きついてきた


「……いのらんおやすみ……」


いつもの場所に安心したのかそのまますぅっと寝息をたてて気持ち良さそうに眠ってしまった


全員が呆気にとられてしまった
もちろん俺も


「…まぁ…あれだ、今後りゅうちゃんが飲み過ぎないように気をつけよう!イイ教訓になったとゆーコトで!!アハハハハハハハハ」


気持ち良さそうに眠るりゅうちゃんを見て
疲れたと全員が大きな溜め息をついた




次の日りゅうちゃんが打ち合わせに遅刻して来ると
三人が一斉に俺を見る


「〜♪なに♪?」


ご機嫌な俺を見てから
痛々しくりゅうを見つめる三人がいた





おわり
 

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