zz

□月島
2ページ/15ページ

・「ぜんぶ君のせい」と同主人公です。



月島が風呂から上がると、いつもの置き場に眼鏡がなかった。
入る前には確かにタオルの横に置いたし、床に落ちている様子もない。

「ほたるー!出た?」
ノックもせずに脱衣場に入ってきた千晴は、黒縁の眼鏡を掛けていた。
「ちょっと、人の眼鏡を断りもなく持っていかないでくれない?というか、いくら僕が服着てるからって、ノックくらいしなよ」
「ごめーん!だってなんか、ほたるの眼鏡を掛けたくなったんだもん」

いいから見て!と満面の笑みで眼鏡のブリッジをあげる千晴。

「どう?」
「どう?って……見えない」
「えー!?見えないの?」
「ばかなの?見えてたら眼鏡なんかいらないデショ」
あきれてため息をつく月島に、千晴はつまらなさそうに唇を尖らせる。


「よし、ちょっと待ってて!」
バタバタとリビングに走った千晴は数分も経たずに戻ってきた。
手にしていたのは月島の携帯だ。
ピロン、という軽快な音はカメラのシャッターを切った音だ。

「なにしてるの」
「撮っておいてあげたからね」
「欲しいなんて一言も言ってないんだけど」
「はい!」
月島の言葉などお構い無しで千晴は何が嬉しいのかニコニコと月島に携帯を渡した。
目を細めて画面を顔に近づけると、そこにはポーズをつけた千晴がバッチリと映っていた。


「どう?似合う?」
明るい声は相も変わらず呑気に響く。
「ふうん」
「似合うでしょ!?」
「どうかな」
「ほたるの意地悪」
「僕ほど千晴に優しい人間はいないよ。相手してあげてるんだし」

「もういいよ!」
べーっ、と舌を出した千晴はくるりと月島に背中を向ける。
歩きだそうとする腕を月島が取ると、千晴は驚いて振り向いた。

「写真なんかでわかるわけない」
千晴の後頭部をがしりと掴んで、顔を近づける。
「えっ、ちょ、ほた……」
唇が触れあいそうな距離まで近づくと、目を泳がせた千晴は意味のない単語ばかりを吐き出す。


写真を見たときも思ったけれど、とてつもなく可愛い。
というか、月島のものを身につけて浮かれていること自体に激しい愛しさがこみあげてくる。
まあ、そんなことは絶対に言ってやらないけれど、と胸中で月島は呟いた。

はちはちと長い睫毛が忙しなく揺れて、千晴の動揺を伝えている。

「ふうん」
「な、なに?」
「……目、つぶって」
「えっ!?」
「いいから」
キスをしようとしていることは、さすがの千晴もわかったのだろう。
ぶわぁぁっと色づいた頬に手を寄せると、きゅっと決心したように千晴は瞼を閉じた。


そんな素直な姿も可愛くてたまらない。
ぞろりとやましさが顔を出すのを押し留めて、月島は千晴の鼻をつまんだ。
「うわぷっ!?」
驚きに目を見開いた千晴が月島の指から逃れようと一歩下がる。

「キスされるって思った?」
「ほほほほたるが!目ぇつむってって言うから!!」
「キスするなんて言ってないよ」
「じゃあなんで目ぇつむれなんて……」
拗ね始めた千晴の頤をすくって唇を触れあわせる。

「んーっ!?」
「不意打ち、好きデショ?」
言いながらも開いた唇の先に進入する。
「ん……っ、ふ」
そろそろと月島の背中に手を回して、もがくように肩甲骨をさする千晴が可愛くて仕方がない。
たっぷりと舐めさすって、ねぶって、しごいて、吸い付く。
レンズ越しにとろけた瞳を堪能していたくて、月島はついつい長いキスを与えてしまっていた。


「っ、は……ぁ」
伝って途切れた唾液をぺろりと舐めて、月島はまた千晴の唇にかぶりつく。
「ほた、んむ……ふぁ」
「煽った千晴が悪い」
煽ってなんかないもん、と潤んだ瞳で無自覚に千晴は月島を誘う。

「いいから、黙って」
そんな可愛い姿をずっと独り占めさせてよ。


(キスすると眼鏡が当たる……今度から外そうかな)


>>>
彼メガネということですが、前の方がツッキーのあまあま感が出てましたね……。
不意打ちはなかなか萌え要素だと思いますがいかがでしょうか……。

エリ様に萌えていただける内容になっていましたら嬉しいです。
企画のご参加ありがとうございました!
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ