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□真琴
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「っひぁ、まこと、ぁぅ……」
達したばかりで胸の先に歯を立てられ、千晴はぶるりと震えた。
「千晴、かわいい」
目尻の下がりきった真琴は、慈しむように千晴への愛撫を止めない。
ちゅぱ、と卑猥な音を立てて吸い付かれ、ジンと腰が痺れた。


「入れていい……?」
真琴の節くれだった長い指でとろとろに解されたそこに、いきり立った熱が宛がわれる。
「んっ、ぁ、いれて……?」
促すようにくだけた腰に力をこめて、真琴の先端をつぷりと受け入れた。
「っ、あぁぁぁ!」
真琴の体格に見合った長大なそれが、千晴の弱い粘膜を擦りあげるようにして埋まる。
「っく、は、千晴……」
「ん、」
ぬるりと口内を真琴の舌に舐め上げられる。
馴染むまで待とうとしていた真琴は、ついつい先ほどの話題を持ち出してしまった。
「……千晴、もうあんなことしないでね?」
「真琴も納得したからさっき仲直りしたんじゃないの?」
「それは……」





あれ、とは本日の出来事だ。

恋人を甘やかすことを至上としているのか、元来そういった性質を持っているのか、真琴は恋人の千晴に過剰と言えるほどの執着を見せる。
嫉妬深いと言えばいいのだろうか。とにかく自分が居ない場所で自分以外の人間と関わることを内心では快く思っていないようだ。
千晴の隣を常にキープする真琴は、千晴とその他大勢の会話のチェックに余念がない。

渚と千晴がスポーツショップで新しい水着を試していると、渚が薦めてくる物とは違うものを必ず薦めてくる。
『こっちも千晴には似合うと思うよ』
嬉しそうな顔で真琴にそう言われれば、そうかなと思ってしまうのは千晴の悪い癖だ。
実際、千晴を知り尽くした真琴の意見の方がしっくりくることが多く、最終的には真琴の望む形になってしまうのは周知の事実だ。
だからこそ渚も面白半分で奇抜なものを手渡したりしてくるあたり、ただでは転ばないなと千晴は舌を巻くのだが。


誰に対しても嫉妬深い真琴ではあるが、一番に嫉妬の炎を燃やすのは、岩鳶水泳部で紅一点の江だった。
江を妹のように可愛がっている千晴が江にちょっかいを出すと、真琴はすぐに千晴とのスキンシップを図る。

「ごーおーちゃん」
「ゴウって呼ばないでくださいってば!」
「あは、怒った〜。せっかく良い名前なんだからもっと胸張ればいいのに」
「嫌なものは嫌なんですよっ!」
「まあまあ、怒ると可愛い顔が台無しだよ?」
「誰が怒らせてるんですか、誰が!」
プリプリと憤慨する江に、あははと笑いながら千晴は江の頭をぽんぽんと叩く。

「千晴」
「あ、真琴」
着替えが終わってプールサイドに姿を現した真琴は、千晴を後ろから抱きしめる。
「また江ちゃんをいじめてたの?」
「真琴先輩からも言って下さいよぉ〜」
ムキになって反抗する江に、真琴は千晴の腕を取り、千晴の指に自分の指を這わす。
「だめだよ、千晴。せっかくマネージャーになってくれたんだから優しくしてあげないと」
指をぎゅっと絡めて、襟足で隠れるかどうかの首筋にキスを落とし、真琴は静かな暴走を続ける。
このキスマークは真琴の嫉妬の表れだ。普段ならばスキンシップで済むものの、千晴が江と仲良くしているだけで、江に見せつけるようにキスマークを千晴に残すのだ。

千晴は俺のものだと言外に含ませて。

「ぶ、部活中にいちゃいちゃしないでくださいっ!」
早く準備運動してください!と顔を真っ赤にさせて、江は部室の方へ駆け出してしまった。


「……もう。江ちゃんに刺激的なの見せちゃダメだって」
「千晴が江ちゃんばっかり構うから、ちょっとね」
「ちょっとね、じゃない。ただの先輩と後輩の戯れなんだから、真琴は我慢を覚えるべきだよ」
「千晴は、こんな俺は嫌い?」
「嫌いとかそういうんじゃなくて……。前々から言ってるけど、いくらおれたちが恋人だからって、部活中にこういうことするのは良くないと思う」
「俺はいつでも千晴と触れ合っていたいくらいなのに」
普段ならばあっさり引き下がるくせに、嫉妬に燃える真琴はなかなか了承しない。
「家に帰ってするならおれだって全然かまわないし、むしろしたいよ。でも、今は部活中」
すげなく真琴の腕から逃れる千晴に、真琴は悲しげに背を丸めた。

「あれぇ〜?マコちゃん、どうしたの?元気ないよ?」
渚のあっけらかんとした声にも真琴はしょんぼりするだけだ。
「あ、また千晴ちゃんに怒られたの?」
「真琴が江ちゃんに無意味にも程がある牽制するからだよ」
「あはは、またなんだ〜。マコちゃんも、千晴ちゃん関係だと譲らないよねぇ」
「今日はもう怜と渚と組むから。真琴は遙と組んで」
「千晴!」
悲痛な真琴の叫びにほだされることなく、千晴は纏わりつく渚をあしらいもせずに怜のもとへ向かった。
いつもならば、「こんな俺は嫌い?」「……好きだよ」といって真琴からのキスで終わらせるのだが、今日は真琴の引き際が悪かった。
そこで耐えかねていた千晴の不満が小さく噴出しただけだった。


真琴がごめんと謝っても千晴は聞く耳を持たずにさっさと怜と渚と準備運動を始めてしまい、徹底的に接触を絶った。
タイムやフォームのことについての話は聞いてくれるけれど、いつものように身体を寄せようとすると自然に距離を取られる。
部活が終わって、真琴が泣きそうになりながら「一緒に帰るのは許してくれる……?」と聞くと、「当たり前」と千晴は笑った。
犬のしっぽが生えていたら引きちぎれそうなぐらいにブンブンと振るだろうと言うほどにパァッと明るく元気を取り戻した真琴は、花をポンポンと飛ばしながら千晴の隣をキープして残りの部員に「俺たち先に帰るね!」と挨拶をして帰っていった。
帰路の間じゅうそわそわと落ち着かない様子の真琴は千晴の家にお邪魔するやいなや、飼い主にじゃれつく犬のように千晴にのしかかった。

「千晴、千晴。ごめんね?大好きだから嫌いにならないで」
謝りながら首筋にキスを落として数時間ぶりの千晴を感じるために必死になっていた。
「じゃあ、もう江ちゃんに見せつけるようにあんなことしない?」
「う……」
「江ちゃんはおれのことどうとも思ってないんだから、あんなことしなくていいんだよ」
「でも、」
「まーこーと?」
「うぅ……」
「おれ、早く真琴と仲直りしたいなぁ」

ふぅ、とため息を吐く千晴に真琴はもう降伏するしかなかった。
「俺が悪かったです。ごめんなさい」
「じゃあもうしない?」
「……頑張る」
精一杯の真琴の譲歩に苦笑を漏らした千晴は、真琴の額にちゅっとキスをして「じゃあ、仲直り」と許してくれた。



それでもう一旦は痴話喧嘩を終えたはずだったのだが、話題を蒸し返してきた真琴に千晴は最中でありながら低い声を出す。
「おれ、仲直りのえっちだと思ってたんだけど……?」
じろりと千晴にねめつけられた真琴は、ほんの少しの隙間から覗く嫉妬すら千晴に見咎められたことでぐっと押し黙った。
「ごめん、俺は千晴のことになるとなんかどうしようもなくなっちゃうみたい」
全身で千晴を愛し、全身で千晴に近づく何かに嫉妬する真琴などずっと昔から知っていることだ。
真琴ですら気づいていない無意識の執着や嫉妬にさらされていた千晴にはもう今日の出来事など塵のように些細なことだ。
ただ、部の風紀を乱すことが嫌いなだけ。あんな行為が部の雰囲気を悪くすることもありえるのだ。


「嫌いになった……?」
「だーかーらー、こんなことで嫌いになるわけないってば」
「でも、」
「逆におれが不安だよ。おれの「好き」は真琴にちゃんと届いてないのかって」
演技がかったフリで悲しげに俯いてみせる千晴に、真琴はあわあわと両手を振った。
「ちゃんとわかってるよ!?千晴の気持ちは疑ったことない!」
でも、と気落ちする真琴に、どうしたのと柔い声音で千晴が頬を撫でるとふわんと笑んだ真琴が、
「俺以外の誰かが千晴を好きになるのがどうしても嫌で……」


繋がっていたままのそこに真琴の腰の疼きが響く。
「ぁ、」
千晴の微かな喘ぎに抽挿を再開した真琴が、千晴の耳許に声を落とす。

「千晴の可愛いところとか格好いいところとか、魅力的なところ全部俺だけが知ってたい。他の誰にも教えたくないんだ」
「ふ、はぁ……んんッ!」
「だから、ごめんね?嫉妬するのはやめられない」
眦の下がった真琴の瞳が真摯な色を写して、それでも変わらず澄みきったそれにきゅうんと胸が鳴る。
「ひぅ、ァ、まこと、だめっ……ン」
「どうして?気持ちいいでしょ……?ね、千晴?」
ぐるりと知らしめるように腰を回されれば、突然の動きに千晴の粘膜がきゅううとうねる。
「あぁっ!あん、あっあっ、それだめっ、気持ちいいから、だめぇっ」
びくびくとつま先を震わせながら、快楽を与えてくる男に千晴は縋りつく。
「んやっ!そこばっか、したら、ア、もう……!」
「千晴、このしこりをぐりぐりって押し潰されるの好きだよね」
千晴の腰を持ち上げて上から串刺しにするように前立腺をごりごりと刺激する。
開きっぱなしの唇からひっきりなしにこぼれる千晴の喘ぎに真琴はぞくぞくと背筋を震わせる。
千晴の全てが真琴の琴線に触れてくる。だから堪らなくなって、真琴は力強く腰をグラインドさせる。


「まこと、ぁ、もう……!でちゃう、」
水底で揺れているような瞳で見つめる千晴の痴態が真琴の欲望を直撃することを、千晴は知っているのだろうか。
「良いよ、気持ちよくなって」
腰の動きを止めないままにふるふると放出を待つ千晴の濡れたそれを掴んで扱く。
極め付けに強すぎるくらいに乳首を吸い上げれば、真琴の情欲をこれでもかと刺激してくる官能的な喘ぎがのけ反った千晴からこぼれる。
「ひ、んぁぁぁぁッ……!ア、はぁ……ッ」
「っ、く」
射精によって収縮する千晴のすさまじい蠕動に負けた真琴も、千晴の温かい中に欲を吐き出した。
快楽に支配された身体が真琴の精液を受けてぴくりとおののく。
眦に溜まっていた涙がその衝撃でつぅとこぼれていく様に目を奪われた。
吐精後特有の気怠さに惚ける千晴は、唾液にまみれて艶めいた唇を薄く開け、真っ赤に染まった尖りを持つ胸をゆっくり上下させている。
こんな姿すら真琴を煽ることを知らない千晴は、真琴のとてつもなく大きくて深い熱情に気付いていない。


「千晴、大好き……」
ちゅ、ちゅ、と痕を付けない程度に後戯を施していく。
「気持ちよかった?」
真琴の質問にゆったりと首を振って肯定を示す千晴に、つい嬉しくなる。
「俺も、すっごく良かったよ」
最後に唇にちゅっと口づけて、後処理をするために千晴を風呂場に連れて行った。



自分で掻き出すと言って聞かない千晴が、つぅと太ももに垂れてきた真琴の精液の流れにすら驚いて喘ぎをこぼすものだから、連れ込むようにして浴室に入って千晴の後ろに再び侵入することになったのは自分のせいではないと真琴は胸の内で言い訳をした。


(ゃ、こんなところで……!)
(あんな色っぽい声で誘われたら、たまんないよ)
(誘ってなんか、あ!こすりつけないで、ん、ばかっ……!ひぁっ!)


>>>
悠里様、かなり時間が空いてしまいましたが、真琴くんのリクエストお待たせいたしました!
どう頑張って書いても真琴くんの言動に納得がいかず、3回も書き直ししてしまいました……。
ちやほやされてる主人公も書けなくてすみません!
相変わらず、えろも話もぬるいですが、ご容赦ください(>_<)

リクエストありがとうございました!
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