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□真琴
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・遙と双子設定
・まこちゃんはれっきとした攻めです。


朝、真琴はいつものように遙を浴槽から引き上げると、水着のまま鯖を焼き始める遙を見届けてから、片割れを起こすべく寝室へ向かった。
寝室に入るとすぐにカーテンを全開にして、太陽光を取り込む。

「千晴、おはよう」
ベッドに埋もれている千晴に挨拶をしても、まだ夢うつつの千晴は生返事すらしてこない。

「千晴、もう起きないと遅刻しちゃうよ」
「ん〜……ごふん」
「だめだよ、ハルに怒られちゃう」
「んぅ……」
真琴が千晴の髪をすくように頭を撫でるものだから、千晴はうっとりと夢心地に浸らざるを得ない。

「まこちゃん……」
「なに?」
碧の優しい瞳がじわりと細められ、千晴は真琴に手を伸ばす。

「すっごくいい夢見たんだぁ」
「へぇ、どんな夢?」
「まこちゃんが僕をぎゅーってして、キスして僕の身体にたくさん触ってくれる気持ちいい夢」
ずっと醒めたくないと思ったほどに甘ったるいそれにまだ引きずられている千晴は、まだ夢に浸かったまま真琴を抱き寄せる。

「まこちゃんが最近触ってくれないから、変な夢見ちゃった……」
とろんと寝起きのあどけないようで艶のある表情と、朝には似つかない色のある声に真琴は身体を硬くした。

「えっ、千晴!?」
千晴に身体を引き寄せられることによってバランスを失った真琴が、千晴のベッドに倒れ込む。

「なんか……したくなっちゃった」
真琴の頬を優しく撫でて、顔を引き寄せて唇を触れあわせる。
驚いた真琴だったが振り払うことはせず、少しだけ千晴に付き合おうと舌を吸った。
それに気をよくした千晴が更に大胆にも足を真琴の足に絡めた。

「ね、まこちゃん……」
細い腰が真琴の太腿に押し付けられ、真琴は兆した千晴のそれに今度こそ目を丸めて身体を浮かせた。
「千晴……!」
「だって、まこちゃんがあんな風に触るから、」
「ゆ、夢の中の俺だよね!?」
「夢の中でもまこちゃんはまこちゃんでしょ?」
「そ、それとこれとは、」

逃れるための言い訳だかなんだかをもごもごと呟く真琴を口説き落とそうと、千晴は押し当てた腰をこれみよがしにこすりつける。

「っ、わぁ!何するの!?」
顔を真っ赤にして目を白黒させる真琴の耳元で、吐息たっぷりに囁く。

「ね、気持ちいいことしよ?」
「だ、だめだよ……もう学校に行かなきゃいけないし……」
「じゃあ10分だけ」
「ハルが朝ごはん食べに来いって呼びにくるよ!」
「………、まこと」
普段はしない呼び方と、極上の甘えた声で名前を呼ばれてしまえば、真琴も陥落せずにはいられまい。
そんな狡い思惑で囁いた千晴だったが、どうやら真琴の鉄の理性は折られなかったようだ。
それでも、あとひと押しなのは間違いない。

「ね、お願い」
真琴の頬を啄みながらねだると、真琴は泣きそうな声で、
「でも、ハルにバレちゃうよ……?」

幼なじみが自分の弟とできてるなんて知ったら遙に軽蔑されるのではないかと怯える真琴は、二人の関係を表には出さなかった。
遙に千晴はやらないと言われたりだとか、軽蔑されるのが怖いのだろう。

そんなの、杞憂だというのに。

「僕はハルに知っておいて欲しいけど」
「う……ごめんね」
「ううん。大丈夫」
千晴がにこりと笑むと、真琴も下がっている目尻を更に下げて優しいキスを仕掛けてきた。

少し厚い唇の感触にドキドキしながら、真琴の首に腕を回す。

深いキスになりそうになった途端、
「鯖、焼けたぞ」
「っわぁぁぁ!」

遙の声に驚いて猫のように飛び上がった真琴は、大きな声をあげて後退った。

「あっ、お、俺、ご飯よそうね!」
明らかに何かしていましたと言わんばかりの顔で真琴は寝室から逃げた。



「んー、やっぱりハルの目の前でまこちゃんにちゅーした方がいい?」
「……真琴を困らせるな」
「困らせてないよっ!ただハル公認の恋人になりたいってこと!」
「俺はもう知ってる」
「ハル公認ってことをまこちゃん公認にしたいんだよ」
「もうバレてるってさっさと真琴に言え」
「だぁーって、『ハルに知られたら俺死ぬ』って顔してるんだもん!だからさ、ハルからそれとなく知ってるってまこちゃんに言ってよ」
「面倒くさい」
「ケチ!」
まあ、ハルから付き合ってるのかなんて聞かれたらまこちゃんテンパりすぎて泣いちゃうかもしれないしね。

「はぁ……堂々といちゃいちゃできる日はいつ来るのかな……」
そんなこと言いながら、こっそりと真琴にキスをねだることも好きなのだから始末におえない。
またしばらくは我慢かなと、千晴はパジャマのまま大好きな真琴の居るリビングへと向かったのだった。

(ハルにはまだ言わないから、ここでちゅーして)
(ば、バレちゃうって!)
(そんなに僕とちゅーするの嫌なの!?)
(うわぁぁ、声大きいってば!!)


>>>
私にイケメンまこちゃんは書けませぬ……(泣)
そのかわり、小悪魔チックな主人公にしてみました。

ご期待に添えずすみません……。
企画にご参加いただき、ありがとうございました!
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