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□トキヤ
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・卒業後
「トキヤー!」
「何ですか、千晴。というか、他人の部屋に入るときはノックくらいしなさいと……」
「明日、ロケで4時起きになっちゃったんだよ!俺、最近夜遅くの仕事ばっかりだったから、絶対明日起きれない!トキヤ、お願い!」
「あなたを起こせとでもいうのですか?」
「大正解!さすがトキヤ!」
「大正解、じゃありません。全く、あなたという人は……」

ふぅ、と大げさにため息をついてみても、千晴は慌てた様子のままだ。
「トキヤ、お願いっっ」
うるうると懇願する千晴の瞳に弱いトキヤは、うっと声を詰まらせる。
「……仕方がありませんね、わかりました。それでも、10分前にはきちんとアラームをかけておくんですよ?」
「了解!ありがとうトキヤ!愛してる!」
ちゅっと可愛らしくトキヤの頬に口づけた。トキヤはまんざらでもない様子で、千晴の頭を撫でる。
「さあ、もうこんな時間です。寝ておきなさい」
「まだ眠くないんだけど……仕方ないか。おやすみ」
「おやすみなさい」
軽いキスを交わして、千晴は自分の部屋へ帰っていった。


トキヤは明日はオフだ。オフとはいえ、毎日同じ時刻に起きるのだが、さすがに4時には起きない。
朝からのロケというのだから、朝食はしっかりと取らないといけないだろう。
仕方がありませんね、と言いながらも明日の朝食の下ごしらえをするべく、トキヤはキッチンに立った。






そして翌日。
千晴が起きているとは到底思えないが、念のためノックをする。
ドア越しにアラームがけたたましい音を立てているのが聞こえる。
まだ起きていないのだろうか、それともアラームがうるさくてノックの音がかき消されているのだろうか。
合鍵で部屋に入ると、まだアラームは鳴り続けていた。

寝室に入るのと同時に、細い腕がアラームを切った。
「ん……」
ごろりとそのまま寝返りを打った千晴は、また寝る体勢に入ったようだ。

全く……。私が来て良かった。新人のうちから遅刻するなんてあるまじき行為ですからね。

「千晴、起きてください。もう4時です」
声を掛けただけでは、起きる様子はない。あのアラームで起きなかったのだから、声だけじゃ起きないでしょうね。
「千晴、起きなさい。遅刻しますよ」
今度は大きな声で、千晴の身体を大きく揺らす。
「ん〜……」
「起きない……全く」


このまま時間を無為に割くわけにもいかない。朝食や着替えが必要なのだ。
あの手しかありませんね。
「千晴、起きないのならば恥ずかしいことをしますよ」
ピクリと千晴の身体が動く。
「そうですね、では手始めに……」

トキヤはわざとクスリと意地の悪い声を出して、唇を合わせる。
少々強引に唇のあわいを割り入って千晴の舌を捉えた。
強めに舌をしごいて、手はパジャマの下の素肌を暴く。
さわり心地の良い絹の肌を堪能しつつ、ふにふにとした尖りに指先を絡めて嬲る。

「んん、」
千晴から艶のある声が聞こえる。
唾液まみれの千晴の唇を舐めてやって、首筋に唇を落としていく。
先ほどからいじっている乳首に反応するかのように、身体がぴくぴくと震えている。

「寝ていても感じるんですか?可愛らしいですね」
意識して甘い声で囁く。顔を赤らめているのだから、起きてることはもうわかっているのに。
「もっと敏感な所を触れば、起きるでしょうか……」
千晴に聞かせるようにゆっくりと指を胸板から下腹部までツゥ……ひと撫でした。
スボンの中に手を入れ、下着のゴムをゆっくりと引くと。



「ト、キヤ……それっ以上は、」
「おや、起きましたか。おはようございます」
「う、うん……おはよう」
「アラームを掛けたのにもう一度寝てはいけませんよ」
そう言いながら、悪戯心がむくむくと起きてしまったため、下着を下そうという手つきをしてみた。
すると本格的に焦ったようで、千晴の手がトキヤの手をがっしりと掴んで止めた。
「ト、トキヤぁ!ロケがあるんだって、ば……!」
「何度声を掛けても起きないので、襲って欲しいのかと思いましたよ」
「襲うって……!何言って、」
顔を真っ赤にしてあわあわと意味の分からないそぶりをする千晴。


「キスする前から起きていたでしょう?お見通しですよ」
「ち、ちがっ!」
「へえ、違うんですか?じゃあいつ起きたのです?」
「そ、それは……」
これ以上ないというほど顔を赤らめた千晴に、トキヤは満足そうに笑った。
そろそろ時間に余裕がなくなってきたので、最後にひとつだけ悪戯しますか。


「そんなに顔を赤らめて否定しても、胸で感じて身体を震わせていたじゃありませんか。続きは帰ったらしてあげますから、早く起きなさい」
千晴の額にキスをして、トキヤは時計を見た。ただいま4時5分。まだ間に合うだろう。
「朝食も作りましたから、準備を整えて早く食卓に来ること。いいですね?」
「はい……。ありがとう」
もじもじしている千晴が可愛らしくて、先ほどで悪戯はやめたはずなのに、思わず口からこぼれてしまった。
「いつまでもそうして座っているだけなら、今すぐ愛してあげましょうか」
「き、着替えます!!」

焦りながら着替える千晴に、クスクスと笑いながらトキヤはキッチンにいって朝食を仕上げた。

(いってきまーす!)
(帰る時にメールしてください。夕食は作っておきますから。夕食の前に可愛がってあげてもいいですが)
(ま、間に合ってます!)

>>>
トキヤはいつでもやらしくなれると思うんだ!

title by 上手な彼のセリフ「顔真っ赤にして否定されても」
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