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□音也
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ダンスレッスンを終えた後も自主練をしていた僕は、無人になった部屋の明かりを消してロッカールームまで走った。
扉を開けると、帰ったと思っていた音也が音楽を聞きながらベンチに座っている。
「あれっ、待っててくれたの?」
「千晴、お疲れさま!」
「ごめん、どうしてもできない所があって……」
「俺でもわかるところだったら明日教えるよ」
「本当に?やった!あ、ごめん。ちょっと汗掻いたからシャワー浴びてくる。すぐ出るから待ってて」
べたべたの身体をとりあえず水で流してさっぱりした後、寮のお風呂に入ろうと思ってそう断りを入れると「んー」という返事がきた。

着ていた服は袋に入れて、下着だけの姿になってシャワールームに入る。
その後で下着も脱いで水がかからない場所に避難させて、カランを緩める。
頭から温めの水を浴びて、思わずため息を吐く。

「ふあー、きもちー」

少しだけ水の冷たさにうっとりした後、すぐに音也を待たせていることを思い出す。
ざっと頭を洗って髪を掻きあげて後ろに撫でつける。
手で身体を優しくこするようにして、汗を洗い流す。

「なんか、髪がペタッてなってんのって、えっちだね」
「へっ?」
襟足をつんつんと軽く引っ張られて振り返ると、音也が勝手に中に入って腕を伸ばして来ていた。
こんな堂々とした覗きは逆に潔いなと思いつつ、別に恋人なわけだしいいかと好きにさせていると。

「なんかムラムラしてきた。えっちしよ、千晴」
「え?」
不穏な単語が聞こえた気がするとぎこちなく音也の顔を見ると、先ほどまでの無邪気な顔はどこへやら、情欲の色が灯った瞳が僕を見下ろしていた。
「ちょ、おとや、まって……!」
いくらなんでも、ここでやるなんて!
「ずっと待ってたんだよ?」
「そうじゃなくて……!もうあがって部屋帰るから、そしたら、ね?」
行為が嫌なわけじゃなく、場所が場所だからと説明しても音也は首を縦に振らない。
「部屋に帰るまでにこんな色っぽい千晴、見られたくない」
「ちゃんと拭いて帰るから、おとや、ちょ、……んんっ」

何も言わせまいとする音也が唇をやや強引に奪ってくる。
長い舌で巧みに口内をいじめられ、酸素が足りなくなる。
「ふぁ、……んむ、ぅ、んぁっ!」
キスに気を取られているうちに無防備な下半身を音也の大きな熱い手が包む。
ほぼ一掴みにされたそれを複雑な動きでこすられて、腰が甘くとろける。

「ひぁ!ぁ、やっ、おとや……!それ、だめぇっ」
だめ、なんて言いながらもう音也の腕に縋ってしまってる。
音也のもう片方の指が乳首を押しつぶすようにクニクニと卑猥に動き、それに反応してピクピクと身体が勝手に動いてしまう。
「っはあ……ん、ん」
「とろとろなの出てきたよ」
「っ!あ、やぁ……!」
耳に密着させた唇から低く掠れた声がこぼれて、わざとセレクトされた恥ずかしいセリフに身体がカァッと熱を持つのが分かった。
「千晴のここ、気持ちくてぴくぴくって動いてる」
「はっ、ずかしいこと、言わな、でっ……!」
僕がこういう言葉に弱いことを知っているから、性感を高めるために音也はよくこういうことを言う。
「後ろも気持ちよくしてあげるね」

欲望の裏筋をわざと指でつぅと撫でられたあと、会陰を強めにこすられて、ガクガクと足が震えた。
「そこは、だめ……!」
「気持ちくておかしくなる?」
「なる、から……!だめぇ……、ん!」
音也の指が窄まりに侵入しようと周りを撫でた。
「千晴、あれ取って」
「ふぇ……?」
快感に流されまいと目をきつく閉じていた時に音也にそう言われ、瞼を開いて視線を宙に彷徨わせる。
「あれ」
アレ、と呼ばれたのは備え付けのボディーソープで、音也が本気でここで繋がろうとしているのがわかる。
嫌だ嫌だと言っていたものの、ここまで来て我慢などできるわけがなくて。
コクリと自分の喉が鳴るのがわかる。
そろそろと手を伸ばしてボディーソープを取る。その間にもくちゅくちゅと前をいじめられて、息を詰めながら音也に手渡した。

出しすぎではないかと思うくらいにたっぷりと手のひらに中身をぶちまけた音也は、ソープを長くて太い指にまとわりつかせて、後ろをほぐしにかかる。
入ってすぐの場所をぐるりと強めの力で撫で回され、鼻から甘い声がもれた。
「きもちい?」
「ん、ぅん、きもちい……」
ちゅ、ちゅ、と軽いキスを受けてうっとりとしている間にも、解す動きは止まらずに何度も身体を跳ねさせた。
「千晴の気持ちいとこ、触ってあげる」
「ぁ、おとや……おねが、早く……!」
もう弾けたくてたまらない欲望が幾度も先走りを垂れ流している。
思わず腰を突きだすと、音也はふっと笑った。

「えろすぎて、俺がたまんない」

気持ちのいいしこりをもみくちゃに押し潰され、僕は身も世もなく喘いだ。
音也の欲望も両手で扱く。くっ、と息だけで快感を耐えているさまが淫靡で、ぞくりと背筋が震えた。

「おとや、入れて、早く……」
早くその気にさせるべく、先端の窪みを指先でいじめると、音也は眉を寄せて唇を噛んだ。
「煽んないでよ……」
より低くなった声で唸るように言われると、きゅんと窄まりが締まった。

ひたりと当てられた音也の欲望がじわじわとめりこんできて、苦しさに息を詰める。
「ん、く……ぅ」
「、きつい?」
「でもっ、入れて欲しい……」
力を失った自分の屹立を撫でつけると、意識が快感に向かってくれて、少し圧迫感が薄らいだ。
自分で押し付けるように腰を動かすと、音也はたまらず押し進んできた。
壁に押さえつけられて、足が浮く。
「ふぁんっ!?」
足が地についていないせいで身体がふわふわと浮いたような気になった。
怖くなって音也に抱き着くと、きゅうっと締まったそこに音也も息を詰めていた。
「や、おとや、なにこれぇ……ひぅ」
背中にぴったりとついたタイルの冷たさに身震いする。
支えられている場所が頼りなくて、僕はわけがわからなくて頭を振る。

「千晴、やばいこれ。すっごく締まる……!」
「あぁッ!だめ、あんっ、ずんずん、きてる……ぅ!」
太いそれで何度も内壁をこすられて、しこりを押し潰されて眩暈がする。
「イく?」
「ん、いきそ……、あっあっあっ」
リズミカルに打ち付けられて喘ぎが止まらない。
「いいよ、出して」

その言葉の直後、腰の動きがより複雑に早くなって、翻弄された僕は音也の広い背中に爪を立てることしかできなかった。

やばい、やばい……!
「あ、でるっ」
あともう一歩で快感が頂点を極めそうだ。

その瞬間。

いつの間にか水が止まっていたシャワーヘッドから、パタパタと数滴落ちてきた水が背骨にあたり、つぅと背中を駆け下りていく。

「ひっ、あぁぁぁっん!?」
予想外の刺激が強く快感を促して、僕は驚きに目を見開いたまま達した。
びくびくと跳ねる身体が自分のものじゃないみたいで、音也にしがみつく。
「ぁ……は、ぁ……はぁ、ん」
「千晴?大丈夫?」
「水が、いきなり当たったから、びっくりして……」
息も絶え絶えに説明すると、ふぅんと音也が意地悪い顔になった。
「え……」
「背中、気持ちいいんだ?」
「んぁ、」
ずるりとまだ固い欲望を抜かれ、くるりと身体が反転したかと思うとタイルと対面させられた。


「じゃ、もっとえっちになって」
もう一度侵入してきた音也の大きなそれはすんなりと入ってきた。
「どういう……」
途端、背中にぬるりと生温かい音也の舌が触れた。
「ひっ、ん!」
「あは、いい声」
べろべろと背骨の形をなぞるように上から舐められ、舌では届かない場所では指で下からなぞられた。
びくびくと馬鹿みたいに反応する身体は新しい性感帯と貫かれる快感に溺れるばかりだ。

「ゃ、も、だめ……っ!」
「もう?」
「はっ、ぞくぞく、する……!」


もっと、と振り向きざまにねだる姿に煽られた音也に、ガツガツと貪られて欲を吐き出した。
くったりとした僕は音也に介抱されて部屋に戻り、まだ満足していなかった音也と共にベッドに沈み一晩中愛し合ったのだった。


(もうシャワー室じゃ絶対しないからね……)
(えー、千晴だってすっげー気持ちよさそうだったじゃん!)
(ううううるさいよ!)



>>>

シャワールームと体位と性感帯の辺りを初めて尽くしにしてみました!
ほぼえっちだけになってしまいましたが、大丈夫でしたでしょうか……。

悠里様のリクエストだったので、少し大胆なものにチャレンジさせてもらいました!
いかがだったでしょうか……!お気に召していただけていたら嬉しいです。

企画にご参加いただき、ありがとうございました!
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