zz

□wj
83ページ/91ページ

ハルヒがうらやましい。

そうポツリと文句を言ったら、ハルヒに「は?」って心底意味わからなそうに返された。
「だってさ、女の子っていうだけで環に可愛いとか家族だとか愛娘だとか思われてんじゃん」
「それは自分の所為じゃないんですが……」
「オレなんてそんなこと言われたことも思われたこともないんだ、きっと。あいつ女の子大好き人間だから」

むくれるオレにハルヒは溜息をついた。
「じゃあ千晴先輩は環先輩に家族だとか愛息子だとか思われたいんですか?」
「そんなんじゃないっ」
そんなんじゃなくて、オレは……。

「じゃあ、可愛いとか言われたいんですね」
「そうだよ……って、ハルヒ!?」
「ああ、やっぱりそうでしたか。すみませんオジャマしちゃって」
「おハルよ、待て!」
「環先輩みたいな言い方やめてください、うざいんで」
「ううううざいだって!?いつからそんな下品な物言いをするようになったんだ?双子の影響かやっぱり!」
あれ、今自分でもすごい環みたいな言い方だなって思ったかも?

「ずっと一緒にいると似るんですね、性格とかもろもろ」
ハルヒはやっぱり口が悪くなったなぁ。っていうか、神経が図太くなった?
あれ?それは元からだっけ?あれれ??

「大丈夫ですよ、心配しなくたって」
「はぇ?」
「環先輩にとって千晴先輩って家族でも愛息子でもないですから」
「それはどういう……?」
なんだ、無自覚なんですか。

呆れたようなハルヒのいいようにも未だによくわからない。
「多分、家族とかいうそんな分類には入れたくないでしょうから」
「えぇっ!?光と馨だって息子たちに分類されてるのに、オレは息子のカテゴリーにも入れてもらえないわけ!?」
「はぁ……」
「どうなんだよハルヒィィィ!!」
がくがくと肩を掴んで前後に揺さぶった。
おっと、紳士たるもの女子にこんなことしちゃだめだな。


「あっ、もしかしてお友達カテゴリーとか!?うん、確かに俺たち数年来の友達だけどさ、オレはそれじゃ物足りないって言うか!」
「(ほんとに面倒くさいな)」
「聞いてる?ハルヒ」
「はいはい、聞いてますよ」
だからそのめんどくさそうないい方やめて!オレ傷ついちゃうから!!


「そこーっ!何をそんなイチャイチャ楽しそうにやっているのだ!」
「あ、環先輩……(めんどくさいのが増えた……)」
「たっ、環には関係ない!!」
どうせ環はハルヒにしか興味ないだろうケドさ!
「千晴っ!?俺には話してくれないのか……?」
滝のような泪を流す環に胸が痛むけれど。
「どうせ環が好きなのってハルヒなんだろ!バレバレだってーの!」

ああ、オレの馬鹿!!何わざわざ自爆発言してんだよ!
ウンって言われるのがオチなのに!

「好きに決まっているだろう!!大事な大事な愛娘だ!」
「ちょっと環先輩……」
即答する環にカチンときた。

「環なんか……環なんか、だいっきらいっっ!!!ハルヒと結婚しちゃえバカキング!エロキング!!」

双子が後ろで「ギャハハハ、エロキングとか言われてるー!」と爆笑してるけど構いやしない。
「千晴に嫌われた千晴に嫌われた千晴に嫌われた……バカキングって、エロキングって……」
体育座りする環をフォローしようとするハルヒにも嫉妬してしまう。
「環先輩、違うでしょう?環先輩が本当に好きなのは千晴先輩でしょう?」

「……はいぃ!?」
あ、言っちゃった。と悪びれずハルヒがすみませんなんて謝ってきた。
「ハルちゃん?何をおっしゃいますか!気は確か!?」
「いえ、いやあの……続きは環先輩から」
さすがに気まずそうな顔でハルヒが環を指す。

つられるように視線を環に向けると、
「確かにハルヒは部のアイドルで俺の愛娘だが!俺の本命さんは千晴だっっっ!!」
顔をまっかっかにして、裏返った声で叫んだ。

「……だ、そうだが?」
鏡夜がやれやれといった感じでオレを満足げに見た。

「ば、ばか!こんなみんなの前で言うなんて信じられない!」
「千晴っ!?」
「バカ殿!えええろキング!ええとええと、えっと……もっと早く言え、ばかっ!」
嬉しかったのにみんなが見てる前で言われたのが恥ずかしくて、オレは第三音楽室から抜け出した。
「千晴……!」
「すなおじゃないねえ、千晴ちゃんも」
「ああ」
「人気のないところで言えば、ちゃんとした返事を貰えるんじゃないか?環」
「う、うむ!ちょっと抜ける」
マッハで千晴の後を追う環に、やっと部員は安堵の溜息をついたのだった。

(やっとこれで二人にやきもきしないですむよ)
(いや、下手すれば今より酷い状態になることは間違いないだろうな)

(いちゃいちゃして部活どころじゃなくなります!)
>>>
やっつけ……(笑)
環好きじゃないのに(笑)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ