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「じゅーんた!」
「……なんスか千晴さん」
「なーなー、準太は彼女いないの?」

直球すぎるのもまた恥ずかしいもんだなぁ、と思いながらも顔に出さずに頷いた。

「好きな人は?」
「別に居ません」
「えー、ちょっとはドキッとした人とかいないん?」

部活の先輩とはいえ、なぜこんなプライベートなことを話さなければいけないのか。
「俺は野球一筋なんで」
こう言っとけば余計な口出しはされないだろ。
「へーえ、ふぅーん」
「何スか?」
ちょっと眉をしかめると、千晴さんはにっこりして、
「野球一筋なヤツ好きだよ」
とかなんとか言った。

なんかドキッとしたのは俺の勘違いだと思う。


「野球一筋の純情くんはこんなスキンシップには慣れてない?」
俺より少し背の低い千晴さんが、俺の腰に腕を回して俺を見上げた。
なまじそこらの女子より可愛い顔してるから、始末が悪い。

「じゅんた……」
うっ、なんか目もうるうるしてんな……。
「ちょ、千晴さん!」

我慢の限界だと腕を剥がすと、つまんなーいと口を尖らせてしまった。

なんか知らないけど、心臓が治まらない!
千晴さんは先輩で男なのに、まずいだろ。

「あー、準太顔真っ赤だぞ。かーわいー、じゅんじょー」
頬をつつかれても俺は反論できなかった。

千晴さんに触れられたら、なぜだか心拍数が速くなってしまった。


もしかして、これが?

「千晴さん」
「ん?」
がしりと千晴さんの手首を掴んで引き寄せた。
「うわっ!」
「俺、野球一筋じゃなくなるかもしんないけど、いいっすか?」

ぼそりと耳元で囁けばさっきの俺みたいに耳まで真っ赤にした千晴さんが恥ずかしそうに頷いた。


(あなたにこいをしました)
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