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「………千晴」
神妙な馨の声にふと目を覚ますと、すぐ目の前に馨の端正な顔が見えた。
「ん……、どうしたの馨……」
ごしごしと眠い目をこすっていると、不意に馨が色っぽく目を細めた。
そして予告もなくいきなり俺の唇に馨のそれを重ねてくる。
「んっ??」
予想外の行動に驚いたものの、すぐに意趣返しだと馨の舌をさらってじゅっと歯で扱く。
馨の敏感な身体はそれだけで疼き、甘い声を洩らす。

「んぅ……ん、ふっ」
舌を絡め合う音すらいやらしく響き、俺たちを高めていく。
唇がようやく離れると、馨のため息混じりの吐息がくすぐったい。
「……いきなり盛って、どうしたんだ」

普段なら頼んだってしてくれないのに、と少し馨を責める。
「いいでしょ。たまには僕からだって」
その方が千晴も燃えるんじゃない、なんていけしゃあしゃあと不敵な笑みを浮かべる。

「ま、そーだけどさ」
「いつもと違うセックスもいいでしょ?」
「……いつもと違うことしてくれるわけ?」
挑発じみた俺の言葉にも激することなく、馨はただただ余裕綽々の顔だ。

「いつもおかしなことさせられてばっかりだから、お返ししてあげる」
お返しって言ったって、馨はさんざん気持ちいいって喘ぐくせに、とはさすがに言わないで置いた。
馨の気持ちが萎えるのも困るし、ヒートアップされても厄介だしな。


「いっつも馨を気持ち良くさせてあげてるから、今日は馨が俺をうんと気持ち良くしてくれるのか?」
カッと頬に鋭く赤みが差した馨は、裸のままの俺の首筋にそっと唇を落とした。

くすぐったいけど気持ちいい。
甘えられているような体勢につい気を弛ませたのを見計らっていたのか、不意に俺の視界が真っ暗になる。
驚きの声を隠せずにいると、愉快そうに笑う馨の声が聞こえた。


「驚いた?終わるまでこれ取っちゃダメだから」
これ、とはもちろん俺の目に巻かれた布。
感触からして制服のネクタイってとこかな。

まあ、最後の最後に馨がイク時になったら取っちゃえばいいだろ、なんて甘い考えは、恋人にはお見通しのようだ。
「言っとくけど、僕が自分で外すまでの間に外したら、1ヶ月ずっとセックスなしだよ」
「それはあんまりだろ」
抗議の声があがるのも理解してほしい。
馨の誘うような期待のこもった瞳を見て、我慢できるわけがない。


「拷問だ……」
「……1ヶ月セックスなしか、黙って気持ち良くなるか……千晴はどっちにする?」

本当に楽しいと思っていそうな声は本気で。
俺は黙って馨に従った。
視界が遮断されるというのは、案外驚くものだ。
黙って従うと馨に言うと、すぐに甘いキスが施されたけど、いきなり触れたものだから思わずびくりと反応してしまった。

「今日の千晴、すっごく可愛い」
「……驚いただけだ」

見えない分、聴覚や触覚が過敏に反応するらしい。
普段ならどうとも思わないような愛撫も、いちいち身体がおののいてしまう。

「ちょ、かおる……まって」
「……なんとなく千晴の気持ちわかっちゃったかも」
そんな可愛い言い方したってダメだからな、馨!


「……うあっ!?」
可愛らしい愛撫に身体が慣れてきたと思ったら、いきなり欲望を掴まれてかなり動揺した。
「か、かお……る!」
「気持ち良くしてあげるから」

フッと自身に息がかかった直後、温かな濡れた舌に絡め取られていた。
「んっ……!」

見えないから次の行動がわからなくて、身体が緊張してしまう。
その分快楽は激しくて、馨の舌もいつもより大胆に動いていてー……。

いつもならこういう行為のときは瞳を閉じた色っぽい顔を見れるのに、と思ったらつい欲望を解放してしまった。

「っー……」
「んぷっ!?……ん、う…」

驚いた様子の馨に、声をかけた。
「……ごめん、馨の色っぽい顔思い出したら、つい出た」
馨の身体の輪郭を確かめるようにして、顔まで伝っていく。
優しい探るような手つきに馨は少なからず感じたみたいだ。

唇の位置を確かめると、こぼれ出たであろう精液を指で拭った。
ついでに俺が開発した馨の性感帯をくすぐってやる。

「あっ!?や、ちょっ……千晴!」
あん、と甘やかな吐息を吐かれて、また欲望が持ち上がった。

「馨が可愛すぎるのが悪い」
きゅっと身体を抱き締めて、探り当てた胸の突起を弄った。
「あ、ん……」
「馨、乗って」
またがるように言うと、馨は素直に従った。
中途半端な愛撫に、頭にもやがかかってしまったのかもしれない。

「僕が……千晴を気持ち良くさせるのに、」
「さっき気持ち良くしてもらったから、次は馨の番」


すぐさま胸の突起を舐めて、ちゅっと強めに吸い付く。
唇で先端をこりこりと挟んでいじめると、馨が鼻に掛かった声で気持ちいいと背中を反らす。
「んっんっ、あ、胸の先……ジンジン、するっ……ふ、もっと…あ!」
同じような愛撫をもう片方にも施すと、いい、いい、と馨が半ば叫ぶように声をあげる。
馨の欲望が俺のお腹にこすれると、また感じたみたいで、くふんと鼻を鳴らした。


「気持ちいい?馨」
「いい、いいよっ」

くちゅくちゅと、馨が自分で自身をいじっているような音がした。
加勢してやろうと馨の欲望に手を伸ばすと、気持ちよさそうな声で馨が鳴く。
そこに馨の手の感触はなく、俺は不思議に思う。

「馨?どこいじってるんだ?」
聞き終えた瞬間に、馨が俺を受け入れるべく(いや、ただ気持ち良くなりたいからかも)、後ろをいじっているんだとわかった。


「馨、自分で後ろいじってるのか?くす、やらしい……」
こういう言葉を使うと馨が敏感になるのを知っているから、わざと意地悪く囁いてやる。
「あっあっ……!」
さらに興奮した様子の馨の後ろから、卑猥な音がぐちぐちと立つ。
いままで俺が頼んでも自分で後ろいじらなかったのに、どういう心境の変化だと勘ぐってしまう。


「馨、どうしていきなりこんなことを?まさか浮気でもしたのか?」
馨はそんなことしないと思ってるけど、一抹の不安は去らない。
「……そ、なの、してるわけないっ……!僕には千晴しか居ないっ!」
俺の心ない一言に傷ついたんだろう、洟を啜る音がして、馨が泣いているんだということに気付く。

「ほんと、だよ……?千晴だって知ってるくせに」
自分の悲しみを慰めるように嬌声をあげて高まっていく馨。
「んっ、千晴っ……!あ、は……好きっ」
大好き、愛してる。
そんな言葉を何度も何度も吐き出す馨の細い首筋にかぶりつく。
馨は俺のモノだという印を、限りなく残してやりたい。


「千晴……いれるよ」
一瞬自分が侵入されるのかと勘違いしたけど、すぐに欲望が馨の濡れたところに触れて、飲み込まれる感触に喉が鳴った。
「くっ……ん、ほんと、馨のナカ最高……」
いやらしい扇動に煽られて、腰を突きだす。
「ああっ!」
一番深くまで繋がることができる体位だと、快感も格段に違う。
「馨、ほんとに感じてるって声してる」
「ばっ……ちが、…あんっ」
「ほら、馨?俺を気持ち良くしてくれるんだろ?」
もっと動いて、なんて無茶な要望を果たすべく、馨は上下運動を始めた。
「んっ……は、ぁ……」
「馨の感じるところいっぱいこすっていいよ?」
「ほ、ほんと……?いいの?」
笑顔で(といっても目は隠れてるけど)了承すると、馨はいつも俺が突いてあげる箇所を重点的に攻めた。

潜めていた声も、快感に比例して大きくなってゆく。
「あっ、は!……千晴、千晴っ……」
「どうした?」
「あ、もう……イク……っ!」
「もう?いつもより早いな」

今の馨は絶対に顔を真っ赤にして、潤んだ瞳で俺をにらんでるに違いない。
そんな可愛い顔を見れないなんて、なんてもったいないんだろう。

「馨……これ外して」
「終わるまで……あっ、ダメだって……」
「馨のイク時の顔が見たい。馨の顔見ながらイクと、俺も最高に気持ちいいんだ」

嘘だなんて言われたから、本当だと返す。
馨の感じきっている顔を見ると、頭んなかのシナプスが全部ぶっ壊れそうになるくらい、いい。


「真っ暗ななかでイクと、一人でしてるみたいで空しい。せっかく馨が気持ちよくしてくれるのに」
な?と促すように腰を突き出すと、濡れた声が耳元に届いた。
「さみし、いの……?」
「ああ。馨と一緒に、もっと気持ちよくなりたい」
妖しげな手つきでわき腹を撫で上げると、馨がくふんと鳴いた。
「ネクタイ取ったら、僕のこと気持ちよくしてくれる?」
「今までで一番気持ちよくしてやるよ、馨」

俺の自信満々の返答に、ほんの少しのインターバルを置いて、ネクタイがするりと取られた。
眩しくて何回も瞬きをしていたけど、馨がいきなり腰を使って俺を翻弄してきて焦ってしまう。

「馨……そんなに欲しい?」
「んっ、だって……僕まだ一回も……」
羞恥に染まる頬にくらくらしつつ、片頬で笑う。
「そうだったな。俺ばっかり気持ちいいのもなんだし……」


ゴロンと体勢を変えると、良いところにあたったのか馨が呻いた。
「かーわいい声。もっと聞かして」
到達寸前だった馨の欲望はまだ張り詰めていて、きゅっと強めに扱けば快楽の声が上がった。
「あっ……千晴っ、だめ!強いからっ、やぁ……!」
忘れずに後ろの好きな場所も突いてやると、くぅっと可愛い声が聞こえた。
ぬるみを帯びた欲望を好きなだけいじると、びくびくと素直な身体から反応が返ってくる。


「馨、えろすぎ……!」
「えっ、なんで?なにが……あぅっ!」
「悪いっ、止まんない……」
止まらない腰に馨のしなやかな脚が絡み付いて、無意識にも拘束されそうになった。
「んぁ、やだっ、でる……!イクっ出ちゃう!」
「いいよ、ほら……イって!」


声にならない快感を喉でころがす馨の強ばる肢体を撫ですかした。
息を整えている馨に噛み付くようにキスをすると、それに応えてくれた。
いつもなら苦しいと押し退けられる後戯を受け入れられ、俺は上機嫌で舌をねぶった。
「ふぁ……千晴、ん……」
「気持ち良かった?」
「ん、……千晴は?」
「良かったよ」
そろそろ繋がりを抜こうと腰を引くと、馨が不機嫌な声で追ってきた。

「ちょ、かおる?」
「まだ……する。もっと気持ちよくしてよ、千晴」
ぺろりと煽情的な瞳で誘われたら、もう陥落するしかなかった。
「じゃあ、今度は馨に目隠ししてやるよ。思いっきり乱れていいから、な」
「ん……」

では続きを、と落ちていたネクタイを拾うと。




「千晴……千晴ー!」
「なんだ、馨……いま結ぶから……って、あれ?」
「結ぶって……何の夢見てたわけ」

あれ?馨なんで裸じゃないんだ?それに俺、ネクタイ持ってない。
「もう起きないと遅れるよ」
「は?」
「寝ぼけてんの?今日は殿と駄菓子屋巡りの約束が……って、千晴?」


がくっとうなだれた俺を馨が覗き込む。
「夢……かぁ。そっかー、ああいうのを本当の「夢」ってゆーんだな」
「何の夢見てたの?」
不思議そうに首を傾げる馨に、にやりと笑いかける。
「教えてほしい?」
「……やめとく」
危険を察知したのか申し出を辞退する馨に、俺は無理やり話し始めた。


「……ってわけ。あー、夢の中の馨はほんと素直で色っぽかったなぁ」
ほわんと幸せに浸っていると、馨がつっけんどんな態度で返してきた。
「ならもう一回寝て、夢の中の僕と変態プレイすれば?僕、出掛けてくるから」
「悪い悪い、冗談だって」
ちゅ、と可愛らしく頬に唇を落としても馨の機嫌は直らない。


「でも馨をもっと気持ち良くしてあげたかったから、残念だけどな」
「……ばか」
「ああ、そうか。本物の馨を気持ち良くしてあげればいいんだな」
名案とばかりに提案すると、環たちとの約束を盾に却下された。
「行くの面倒くさくなったっていっときゃいいだろ」
手早くメールを作って送る俺に馨は大きくため息をついた。


「ほら、馨」
「……じゃ、千晴の夢みたいに、僕がしてあげようかな」
「マジで?」
エロい馨が見れる!と喜ぶ俺に、馨もにっこり顔だ。

「ただし僕がいいって言う前に勝手に外したら、1ヶ月セックスなしだからね」
「馨、それは……」

綺麗で色っぽい恋人に、してやられた俺だったのだった。


(じゃあ馨が俺を気持ちよくして、乗ってくれるんだよな?)
(は!?するわけないでしょ)
(ありがとな馨。愛してるよ)
(ちょっと!僕しないからね!)

>>>
す み ま せ ん(笑)
遊びすぎました結果、夢オチです(笑)
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