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僕が二人分の飲み物を取りに行って帰ってくる間に、いつのまにか千晴はハルヒの隣に居た。
いつもと変わらずに、楽しげに談笑している。
ああ、こういうときいちばんつらいんだ。

千晴の、ましてやハルヒの所為でもないから、僕は誰にも当たったりできない。
だからといってこの感情を消し去ることも出来ないんだよね。

だって千晴は僕の一部で、千晴が居なきゃ僕の心は死んでしまうから。

まあずいぶん楽しそうな顔をしてるじゃないか、と心の中で愚痴を言うしか僕には出来ない。

こういうときにさ、僕ってほんと千晴が好きなんだなーって思い知らされるよ。
どんどん自分でも制御できないほど千晴におぼれてる。

ちゃぷ、と飲み物が波立ったことで自分の手が震えていることに気付いた。
はっ、と思わず自嘲してしまう。

誰彼構わず嫉妬している自分にちょっと嫌気がさしたからさ。
こうやって僕は千晴に関わる人全員に、くだらない感情を持ち続けなきゃいけない。
ハルヒのこと好きだけど、嫌いだ。

「馨。ずいぶん遅かったけど、何してたの」
「ごめんごめん、何味にしようかずっと悩んでて」
ハイと手渡した時に千晴の指に触れてしまって、自分のこの醜い感情まで流れうつってしまいそうで怖くなった。

「馨?」
「なに?」
何もなかったみたいに、僕は笑う。

(すきだとおもうきもちぶん、このきもちもかってにふくらんでゆく)
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