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「悠って、バカなとこが可愛くて好きだな〜」
「は…?」

俺の話を聞いてた奴はみんな、頭に?マークを出して俺を見る。
あっ、阿部の奴、「ばっかじゃねぇの?」って顔してるし。

「バカってなんだよ、千晴!」
いるはずのない悠の声が聞こえて、俺はキョロキョロと辺りを見渡す。
廊下の窓から顔を出してる悠においでと手招きをする。
すると、嬉しそうにこっちに来る。

「こーゆーとこが、バカっぽくて好き」

たまたま教室に来てた栄口に視線を向けて言うと、困ったように笑われた。
「ちょっとよく意味がわかんないけど…仲いいのはいいことだよな」

あー、栄口ってば阿部と違っていい奴。

「俺はバカだけど、バカじゃねぇよ」
きっぱりと言い放つ悠に、俺もうんうんと頷く。
俺の行動に、またみんな混乱してるようだ。


「だから、悠は野球バカだし、エロ大魔人だし、全身下半身だし、普通に頭もバカだけどな?」
ぷくっと頬を膨らます悠のほっぺを思いっきり押して、空気を出させる。
にへっ、と笑いあって、

「頭の回転は速いし、野球は上手いし、ムードメーカーだし…で、まぁそんな悠もカッコいいけど、やっぱ普段の野球バカな悠が好きだなって感じ?」
三橋と一緒にいると、更に動物ぽいっつーか、おバカっつーか。
「ん?なんか自分でもよくわかんなくなってきた」

えへっと笑うと、他の奴らは脱力して力なく微笑んでいた。


「俺らからすれば、お前も充分動物っぽいよ…」
栄口のよくわかんない言動にとりあえず「ふーん」と頷いて、悠の頭を撫でる。
「なんか悠の頭触んの落ち着くー…」
「千晴」
「んー?」


幸福な時間を味わっていると、悠は頭を俺に触らせたまま、俺を見た。
「千晴、いっこ抜けてる」
「え、何が?」
俺が首を傾げると、悠は俺の手を取って言った。


「俺、千晴バカだぜっ!」
…完全ノックアウトです。
もうこの子にはかないません!

「…ばか」

ため息を吐く野球部の奴らを余所に、俺たちは二人見つめあっていた。



(ほんと…変な奴ら)
(応援してやりてーけど、なんかすっげームカつく…)

(なーなー!千晴も「俺バカ」だよなっ!)
(ばーかっ…)
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