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□米
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何度もハルに言われたこと。
『来る前に連絡をください』
『玄関は壊さないでください』
『ヘリコプターを庭に止めないでください』


バッターン!
「ハルー!今日も来たぞ!」
「あらあらアルフレッドさん。こんにちは」
「今日のおみやげはドーナツとシェイクだぞ!」
「いつもありがとうございます。居間でお待ちくださいな」

菊の「玄関が……」という悲痛な呟きは、小さすぎて聞こえなかったんだぞ!



「アルフレッドさん、そろそろ玄関を壊すのは止めてくださいな」
「君に会いたくてついつい力任せになっちゃうのさ」

「では、事前にご連絡をいただくという約束は……」
「君に会うことしか考えられなくて、他のことは手に着かなくてね!」

「ならば、ヘリコプターで来るのは……」
「飛行機使うより時間の節約ができるだろう?ヒーローは忙しいからな!一分一秒も無駄にはできないんだぞっ!」

DDDDD!と笑うと、ハルは苦く笑った。

「まったく、困ったヒーローさんですね」
ヒーローは人様のものを壊したりはしませんよ、とたしなめられる。
ハルは怒ったりなんかしないんだ。


「アルフレッドさん。なら、こう考えるのはいかがです?」
「ん?」
「アルフレッドさんから連絡を頂ければ、美味しいご飯も作っておけますし、アルフレッドさんとお会いするまであなたのことを考えていられるでしょう?
それに、近くの空き地にヘリコプターを止めて下されば、そこまで私が迎えにあがりますから、散歩がてら一緒に歩けますね。
一緒に家に帰れば、私が玄関を開けて差し上げますから、家の玄関も壊れずに済むというわけです」
素敵でしょう?と、素敵な笑顔でハルはそう提案した。
「一緒に散歩っていうことは、デートかい!?」
「ええ。たまにコンビニエンスストアにも寄りましょうね」
「ワオ!それはグレートだね!何より、ハルが俺のことだけ考えるっていうのがサイコーさ!」

その案に全力で賛成するぞ!と甘い甘いドーナツをかじる。
「それはそれは、うれしゅうございます」
小さな口でハルもドーナツをかじった。


こうして俺は、更に素敵なヒーローになったってわけさ!


(アルフレッドさんとあの緑のアーチをくぐるのが、今から楽しみですね)
(ハル……よくやりましたね!)


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アルフレッドの性格がわからない……。
懐柔されるアルが書きたかったのです。
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