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□北伊
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「フェリの浮気者ーっ!」
ばちんっ!
「オレ、浮気なんてしてないよー!ハルと付き合ってから女の子ナンパしたこともないし!」
「嘘つきっ!あたし知ってるんだから!」

身に覚えのない追及と頬の痛みに、フェリシアーノはただ目を白黒させるばかりだ。
だって、ハルを口説き落とすために、フェリシアーノは本当に何だってしてきたのだ。
女の子をお茶に誘って遊ぶこともしなかったし、逆に女の子からの露骨な誘いにも否を突き通した。
誤解もしないように、昔からの女友だちは予めハルに紹介したりもした。


ボロボロとハルの大きな瞳から雫がこぼれて、拭ってあげようとしても拒絶される。
「ヴェ……ハルー、オレやっぱりハルが何で怒ってるのかわかんないや……」
こちらもべそべそと泣き始めて、いよいよ事態の収拾がつかなくなりそうだ。


「ね、ハル。オレ、女の子と遊んだりしてないよ?だってハルがオレの世界でいっちばん大事な子だもん!」
「女の子とは、でしょっ」
「ヴェ?」
「フェリは、フェリは……あたしよりルートのが大事で大好きなくせにぃぃーーー!」
うわーん!
ついには大きな声で泣き始めてしまった。
「えーっ!る、ルート?」

ハルの言葉が予想外すぎて、目が開いてしまうほど、フェリシアーノは驚いていた。

「あははー、ルートは昔からの友だちだよ〜」
何言ってるの、と華奢な肩に手を置いた。

「だって、だって、ルートと同じベッドで寝るし、ルートに会うとハグとキスしたがるし、ルートといっつも一緒にいるし、ルートといっつもいちゃいちゃしてるじゃん!」
何個か聞き捨てならない言葉があったぞ、とフェリシアーノは回らない頭で考えた。


「ルートは大事な友だちだってば!でも一番大切なのはハルだけだよ!ほんとだよ?」

オレがハルを好きなくらいハルもオレのこと好きでいてくれるのが嬉しい。
友だちなだけなのに、ルートに嫉妬するハルが可愛い。

「オレがルートと浮気するわけないのに〜。あ、それってつまりハルもオレが大好きってことだよね?」
わー、オレ嬉しいなぁ!
幸せな顔でそう言うと、ハルもくすりと笑った。


「うん、大好きだよ。宇宙でいっちばん」
ちゅ、と控えめに頬にキスをするハル。
「だからね、あんまりルートといちゃいちゃしないで?」
「うんわかった!オレ頑張るよ〜」
「(……本当にわかってんのかなぁ)」
「ヴェ〜、ハル?」
「ううん!ねぇ、フェリ?これからもあたしとずっと一緒に居てね?」



もっちろん!
いつもの柔らかすぎる笑顔のフェリシアーノに、ハルは降参するしかなかった。


(泣いて騒いで仲直り)
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