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□北伊
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「フェリ!おかえり!」
ナターレが終わって、菊の家でショーガツを過ごした俺は、扉を開けたらすぐに愛しい彼女の可愛い声に歓迎された。

「ハル!ただいまー」
感動の再会を果たした俺たちは固く抱きしめあう。
「ルートさんと菊さんは元気だった?」
「うん!俺とルートは酔っぱらっちゃってねー、菊がちょっとポコポコしてたー」
「ふふ、向こうでは新年に豪華なご飯を食べるのよね?」
「オセチっていうお弁当とか、ソバっていう黒いソースにつけて食べるパスタみたいなのがあったよー。美味しかったぁ。ヴェー、ハルも来れば良かったねー」

それは残念、とハルは言って、何を思い出したのか急にいい笑顔になった。

「あ、そうだ!ねぇねぇ、ひとつ忘れてたことがあるの!目をつむって」
新年早々の初キスかなぁ!
「ヴェー!とびきり甘いのね!」
「まっかせといて!」
うきうきした声を隠さないハルに、可愛い子だとまた抱きしめたくなる。
期待に胸を膨らませながら、そっと目をつむった。

「あ、口は開いてね」
「ヴェッ、なんでー?」
「いいからいいから」
初キスだ!とピンク色の妄想で幸せに浸っていた俺は、何も疑わずに言われるまま口を開いた。


ポンッ!
軽い音に続いて、口の中に違和感。
「んぐ〜っ!?」
勢いよく入ってきた何かに思わず噎せそうになった。

「……っ!」
「あははっ!ドッキリ大成功!びっくりしたでしょ」
ニコニコ顔のハルを見て、ようやく丸い玉の味がわかった。
「飴玉……?」
「そうだよ。これは開けたときに音の出る飴なんだ〜」
ポンッとまた音がして、ハルの口へと飴が飛び出していく。

「面白い!すごいー!」
喉につまりそうになって危なかったことも忘れて、俺はすごいすごいとはしゃいだ。
「あたしも最初はびっくりしたよ〜。はい、これあげる」
ひと袋まるごと手渡され、子供のように目をキラキラと輝かせた。
「ありがとー!兄ちゃんとルートに見せてくるー!」
「あはは、うん」


先ほどのドッキリがフランシスとロヴィーノの作戦とは知らないまま、フェリシアーノは無邪気に走っていった。

(見てよ兄ちゃん!ハルからすごいのもらったんだよー!)
(ハッ、お前ハルに目ぇつむってって言われて、変な妄想しただろバカ弟)
(ヴェー??何で知ってるのー?)
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ポンッと音の出る飴好きです。でも目をつむった人にやらないように!(笑)
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