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□うたぷり
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・荒川アンダーザブリッジ(映画)パロ
「ねえねえ、なっちゃん」
「はい?どうしました、春ちゃん」
「なっちゃんって、鳥と話せるんだよね?」
「ええ、はい。小鳥さんに相談とかもしますよぉ」
「へぇ、すごい。ねえねえ、じゃあさ、なっちゃんは金星の言葉はわからないの?」
あたしの言葉になっちゃんはきょとんとした顔をする。
なっちゃんって、大きくて男の子っぽい身体つきなのに、どうしてこんなに可愛いんだろう。
「金星、ですかぁ」
「そう、金星。なっちゃんはよく星のことについて話すじゃない?もしかしてなっちゃんが金星人だったら面白いなって思って」
「金星人?僕が?」
「そうそう。髪も綺麗な金色だし、何だか金星人みたいだなって」
あれ、でも金星人って表情があまり豊かじゃないとか言わなかったっけ?
泣いたりできないとか……。
なっちゃんが泣く場面は見たことないけど、嬉しい時とかテンションあがった時とかは嬉しそうに笑っていると思うんだけど。
特に翔ちゃんに着ぐるみ着せたり女装させてる時のなっちゃんは、いろんな意味で良い笑顔なんだよね。
「ふふ、残念ですが僕は金星人ありませんよ。僕が金星人だったら、大変だったところですよ」
「え?どうして?」
「だって、ちゃんと地球語を練習しないと、春ちゃんに自分の気持ちを伝えられませんから。例えば、春ちゃん可愛い!とか、春ちゃん大好きです!とか、ぎゅってしてもいいですか?とか」
「……そう、だね」
ああもう!なっちゃんって、本当にストレートで恥ずかしい!
嬉しいんだけど、そこがなっちゃんの良い所であたしが好きな所なんだけど!
赤くなって何にも言えなくなっちゃうからやめて!!
「あれ?春ちゃん、真っ赤ですね。嬉しいですか?」
にこにこと相好を崩すなっちゃんに、あたしはこくりと頷いた。
「春ちゃん可愛いっ!本当に本当に、宇宙で一番大好きです!」
ぎゅーっと抱きしめられて、満更でもない。
おずおずと背中に手を添えると、苦しくなる一歩手前くらいまでの強さで拘束された。
「あ、あたし、も……。大好き」
「本当ですか?嬉しいです!」
頬ずりをされて、なっちゃんってば本当にスキンシップが好きだなとぼんやり思った。
「あ、でもね」
「はい?」
「もしなっちゃんが金星人だったとして、可愛いとか抱きしめてもいい?とか聞けないとしても、たったひとつだけ分かる言葉があるの」
「? どんな言葉ですか?」
「あたしとなっちゃんがいつでも言い合いたい言葉」
拘束が緩み自由になった手を口に当て、内緒話のポーズ。
なっちゃんは聞きやすいように屈んでくれた。
「あのね、」
精一杯の気持ちと甘い声を乗せて。
『ハナガ サカサマニ サイテルミタイダ』
(それは素敵なI love you!)
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映画見た記念に書いてみた。
映画の天体観測と最後のマッチングに衝撃を受けて書いてしまいました。
なっちゃんって金星人っぽいですよね!っていうことで。
「花が逆さまに咲いてるみたいだ」は「僕はあなたを愛しています」と言う意味です。