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□うたぷり
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※ST☆RISHの専属作曲家が主人公で、メンバーから溺愛されてる(≠春歌)
※アニメ2期(2話)セシルさんに滾った結果
※セシル→(←)主人公
※つじつま?何それ美味しいの?


トンデモ設定が許せる方のみどうぞ!




どこからか懐かしい歌声が聞こえる。
私はその声に誘われるまま、ふらふらと歩み寄った。


この歌声を私が忘れるはずがない。
透き通った温かい、慈愛に満ちた歌声。
これは……。

「春!あぁ、会いたかった。ワタシの愛しい人」
「セシル!やっぱりセシルだ!どうしてここに!?」
走って行って抱き着くと、セシルはちゃんと受け止めてくれた。

「会わないうちにとても素敵になっていますね。嬉しいです。これからはずっとアナタの傍に……」
手の甲にキスを受け、私は目を白黒させながらもセシルを見つめた。
夢じゃないんだ、本当にセシルが居るんだ!

「ずっと待ち望んでいました。春、アナタとこうして触れ合うことを」
「セシル……」
セシルの端正な顔がゆっくり近づいてくる。
うっとりと見とれてしまい、吐息が感じられるほどにお互いの距離が縮まる。

「って、待ったぁぁぁぁぁ!!」
グイッと引き離されたかと思うと、私の前には真斗くんとトキヤくん。
セシルは他のメンバーに首根っこを掴まれて、少し苦しそうだ。
「春、知り合いなの?」
「うん!私がセシルの故郷のアグナパレスに居た時にセシルとたくさん音楽の勉強をしたの」
「えぇっ、春って留学とかしてたの?」
「3年前までね。懐かしいなぁ。アグナパレスは音楽に愛された土地なの。あそこで過ごした日々は本当に素敵なものだったなぁ」
「ワタシにとってもアナタと過ごした日々は宝物のようにキラキラと光っています」
「うん。セシルは私にたくさん音楽の素敵なところを教えてくれたよね。今でもちゃんと覚えてるよ」
そっとセシルの手に私の手を添えて微笑む。
セシルもたまらなく嬉しそうに笑ってくれて、胸がポワンと温かくなる。


「それにしても、どうして日本に?セシルは、」
「ハーッハッハッハ!ハーイ!紹介しまショー!」
いきなり社長が現れてセシルの紹介を始める。
王子であるとかスカウトしたとかでみんなは驚いているようだ。
マスターコースにセシルも参加することに私は驚いた。

「セシル……」
「言ったでしょう?これからは春の傍に居ると」



その言葉はとても嬉しいけれど、セシルにマスターコースは向いてないんじゃ……。
セシルの音楽はルールや常識に捕われない、心で歌うもの。
アイドルというエンターテインメント性の高いものには合わない気がする。
聞くだけで心が温かくなってふんわりとした幸せに包まれるものだ。

みんなと紡ぐST☆RISHの音楽はもちろん嫌いじゃない。
人を幸せにする力を持っていることは知っているし、求心力もあると思う。
けれど私の知っているセシルの音楽は、ST☆RISHの音楽の方向性とは違う。


「お前、マスターコースに入って何すんだよ?」
「ホントはアイドル志望とか?」
「アイドルなんかに興味はありません」
「えっ?」
皆が驚く中で私だけはむしろ納得していた。
セシルがアイドルに興味を持つとは到底思えなかったから。
ではどうして日本へ?そんな疑問はすぐに解消された。

「ワタシは春の傍に居たいだけ。そして、春の生み出す音楽に詞を乗せて歌いたい。あの頃のようにアナタの音楽に囲まれていたいのです」
あの頃……アグナパレスでの生活は夢みたいに楽しかった。
セシルの声が、目が、空気が、私の心を震わせた。
セシルのためだけに書いた曲を愛してまた紡いでくれるのがなによりも嬉しかった。


「春、アナタを愛しています。二人で愛を紡ぎましょう」
甘い声と瞳で語りかけてくるセシルに、心臓が爆発しそうになる。
「あ、セシ……」
絆されそうになったところで、闖入者の登場で空気が壊された。


シルクパレスのカミュさんがセシルの担当になるのだと宣言すると、セシルは笑顔で答えた。
「先輩……そんなものは必要ありません。アイドルに興味ありませんから」
アイドルを目指している皆の前でそういうことを言ってしまうセシルに肝が冷えた。
正直なことはいいことだとは思うけれど、時と場合を考えないのがセシルだ。


ハラハラしている間にカミュさんが私たちを中庭に連れ出す。
そして、ST☆RISHの皆とセシルでカルタ対決をしろと言い始めたのだ。
あまりにも分が悪いそれに私は中止をお願いしようと声を上げる。

「カミュさん!お願いです、やめ」
「いいのです、春。ワタシは勝ちます。勝って春への愛を証明してみせます!」
「セ、セシル……でも」
「心配無用です。my sweet heart.アナタはワタシの勝利を見届けてください」

ちゅ、と額にキスをしたかと思うと、セシルは意気揚々と皆に立ち向かっていった。


「私はどっちを応援したら……」
どっちも負けてほしくない。だから、私はただ見守ろう。

カミュさんに札を読むように指示されて札を読むと、皆が一斉に走り出す。
そして、翔くんが取ると思われた札をセシルが一足先に奪った。

「ウソだろ!?」
翔くんが驚いてそう叫ぶと、セシルは勝ち誇った顔で、
「ワタシ、ひらがななら完璧です!」
「私と一緒に勉強したもんね」
「はい!春が教えてくれたから、日本語をたくさん話せるようになりました。春の国の言葉で愛を告げたいとその一心で、春が日本へ帰国してからも勉強を続けた

のです」
「セシル………」
「日高!ほだされてんじゃねぇっ!」
「ご、ごめんなさいっ」

ばつが悪くなって、言葉尻を濁す。
そしてまた対決が再開され、セシルは驚異的なスピードで次々と札を取っていく。
ST☆RISHの皆が騒然とすると、冷静な真斗くんが札の字が違うことを指摘する。

「お前!全部お手付きじゃねーーかっ!」
翔くんが持前のツッコミ力で全力ツッコミをすると、セシルは膝をついて悔しがった。
「日本語は自信があったのに……!」
「私が日本に戻ってきてから手紙もあんまり書かなくなったし、忘れちゃったのかな……」
「春、アナタへの愛が薄れているわけではありません!」
「そんなこと思ってないよ。私もアグナパレスの文字は覚えるのに苦労したし」


セシルが気を取り直して次の札を探す。
遠くの木の枝にかかった札をセシルがいち早く見つけ、軽い身のこなしでその枝まで登る。
翔くんが焦ってこれまた華麗に枝につかまると、その振動で枝が揺れ、立っていたセシルが身体を不安定に揺らした。


「うわぁっ!」
「セシルっ!!下っ!」
「み、水〜〜〜!!ダメですっ!」

体勢を立て直そうと踏ん張る努力とは裏腹に、セシルは重力に従って下の池に落ちてしまった。
「にゃぁぁっ〜〜!」
「セシルーっ!」
私はなりふり構わず走り出した。
私が助けないと!

しかし、私はカミュさんに腕を取られセシルに近づくことは叶わなかった。
「離してください!セシルが!」
「見届けろと言われただろう」
「溺れてるんですよ!?」
死んじゃう!とカミュさんに再三抗議しているうちに、事態は解決したらしかった。


「足つくだろ、そこ!」
「うわぁぁぁ……!え?」
どうやら底の浅い池だったようで、セシルはびしょ濡れになったものの、どうにか自力で陸に上がることができた。
「ひどいです。誰も助けてくれないなんて……」
「セシル、」
今すぐ駆け寄って抱きしめてあげたい。
過去の嫌な記憶のせいで冷や汗が止まらない。


「ひっ!?魚ぁぁぁぁ!!もうイヤですぅぅぅ!!」
ピチピチと跳ねる魚を見つけたセシルは、叫び声をあげて一目散に逃げ出した。
驚くほどの速さで私に抱き着いてきたセシルを落ち着かせるように、そっと頭を撫でる。


「セシル、落ち着いて?もう大丈夫だから。私が傍に居るから、ね?」
「み、みみみみずがっ!さかながーー!」
「うん。ごめんね。大丈夫だよ。私が魚なんてどっかにやっちゃうからね」
骨が軋むほどに強い力で抱きつかれ、本当に怯えていることを知る。

大丈夫だよ、もう安全だよ。私がここにいるよ。
セシルの大きな身体を撫でさすって、耳元で出来る限り優しく告げる。


「春、春……!」
私たちの所まで戻ってきた皆は不思議そうに私たちを覗き込む。
「どうした?」
「アグナパレスは砂漠の国で、お風呂以外に水と触れ合う機会はそうそうないんです。それなのに、昔に私が溺れかけたのを助けようとして、セシルも溺れちゃって……。それで水嫌い

……」
「魚嫌いは?」
「その時に服に魚が入り込んじゃったんです。だからその感触を思い出すだけで気絶しちゃうくらいで……」
「それは気持ち悪いねぇ」
「そうですか?魚さん可愛いですよぉ」
「いや、服の中でビチビチ跳ねられたらそりゃトラウマもんだな」


「こんなに震えて、可哀想に」
大丈夫だよと額に口づける。こういうのは根気が必要だ。
もうしばらく時間がかかりそうだから、ゆっくり落ち着かせよう。
額に続いて、冷たい頬や固く閉ざされた瞼に力を抜くように口づけた。

「春っ!?お、お前」
「ふ、ふしだらなっ」
「ふしだら?慰めるには普通の事でしょう?」
セシルはいつもこうやって私を励ましたり慰めたりしてくれた。
こうしてもらえると、不思議と元気が湧いてくるんだよね。
「まあ、日本人にはさすがにしないけどね、あはは」

羨ましい!と嫉妬の炎を燃やすメンバーに気付きもせず、私はセシルの様子に夢中だ。

「セシル?」
小さく囁いて、チラリとこちらを見るセシルに柔らかい笑みを向ける。
「寒くない?早く部屋に戻って服を替えないと、風邪ひいちゃうよ」
「寒いです」
「やっぱり。ほら、戻ろう?」
「春が温めてください」
「え?……んっ」

セシルの冷たい唇が私のそれに重なって、何度もついばまれる。
ちゅ、ちゅ、と高い音を立てるそのキスに私は頭が真っ白になった。
唇へのキスは初めてだ。そんなに恐ろしかったんだろうか。慰めてほしいという意味のキス?
いや、アグナパレスでも唇へのキスは愛する人にしかしないはず。

あれ?でもセシルは私を愛していると言っていたし、じゃあキスをするのは間違いじゃない?
私はこんなに混乱しているけれど、嫌だという気持ちは微塵もなくて。

「んぅっ!?」
ぐるぐると考え続けている間に、いつのまにかセシルの舌が私の口内に収まっていて、優しい強さで舌を絡めてきた。

ひえぇぇぇ!!
こ、こんなキスしたことないっ!


「うわぁぁーーーーーーー!!何してんのセシルっ!!!」
「同意のないキスは感心しないな」
「僕も春ちゃんにちゅうしたいです〜」
「アホなこと言ってねーで、さっさと引きはがせっ!」

翔くんの指示によって那月くんがセシルと私を引きはがす。
真斗くんとトキヤくんが心配そうに私を覗き込んでくるけど、私はぼんやりと宙を見つめたまま。
恥ずかしさのあまりに目は潤んで、口づけで痺れた唇は感覚がなく、少しだけ開かれたままだ。
熱い吐息がこぼれているのが自分でもわかって、でも頭の中はぐちゃぐちゃで何も考えられない。



「……一ノ瀬」
「はい。そうしましょう」
「「日高(さん)禁止令だ(です)」」


私の反応に危機を察知した二人は、セシルに私に触れることも近寄ることもしてはいけないとお達しを下した。

セシルが抱きついたせいで私の服もびしょびしょに濡れていて、着替えさせようということになった。
那月くんとレンくんに引きずられて部屋に戻るセシルは、いくら抵抗しても二人には勝てなかった。

「Non!春はワタシの運命の恋人!ワタシは春の傍に居ると誓ったのです!春と離れません!」
「まったく騒がしい人ですね。では、私と聖川さんで日高を運びます」
「あぁ、そうしよう」
「えっ!俺も行く!」
「俺も行くぜ!」
「はぁ、勝手にしなさい。さ、行きますよ日高さん」
「え……うん」
「まだ夢の中ですか。まあこのまま連れて行きましょう」



「春〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
セシルの叫びは誰にも構われずに消えることになってしまった。

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2期のセシルさんはキャラ崩壊しすぎだと思うww
にゃーー!を聞けて大満足です。
歌もまた良かったですね!民謡っぽい歌すきなんで、今からwktkです!

2話みたら、春歌ちゃんみたいなファンタジーな女の子はセシルさん相手が一番いいんじゃないかと思いました。
春歌ちゃんの中の人が好きなので、春歌ちゃんも好きです!きゃわいいよね!
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