z

□ゲーム
1ページ/22ページ

・男主人公でリタ夢です。
・リタっちがほぼツンデレてません。
・それチートwwってのもします。


よろしければどうぞ!





ダングレストからしばらく歩いた辺りにレアアイテムを落とすモンスターがいる。
蒐集家である依頼主にギルドへの依頼が来た。
レアアイテムだと言うのに5つも要るというのだから、蒐集家は相当に強欲だとリタとユーリは話していた。

「……タイダルウェイブ!」
リタの上級魔法で敵を一掃した後、カロルがアイテムを拾う。

「あっ!あったよ!これであと2つだね」
「腹減ったな。そろそろ飯にしねぇ?」
「賛成です!私もうお腹ぺこぺこです」
朝からずっと戦いっぱなしで、もう太陽は真上まで上がっていた。
空腹を訴えるメンバーは満場一致で昼食にありつこうと、魔物の気配のない場所へと移動し始めた。


「リタ、大丈夫か?」
「何がよ」
「何って、完徹3日目で戦闘続きはキツいんじゃないかと思うんだけど」
しかもさっきから上級魔法ばっかり使ってるし、とハルはリタを心配した。
「平気に決まってるでしょ。あたしを誰だと思ってんの」
「天才魔導師リタ・モルディオさんだね」
「そういうこと」

強がるリタに、ハルは肩を竦める。
「ハルー、リター!こっちで食べようよ!」
「はいよー、今行く」
フラフラとはしてないものの、覚束ないリタの足取りに、ハルは倒れる素振りを見せたらすぐに助けられるようにと、真横に並んだ。

「お昼は、ユーリが朝作ってくれたサンドイッチです!フルーツサンドもありますよ〜!」
ユーリの手料理が大好きなエステルが、目を輝かせている。
「唐揚げとサラダもあるよ!」
わいわいと喜ぶカロルにリタはため息を吐くと、自分の荷物から本を取り出した。
そして、とりあえず手に触れた物を口に放り込む。

「リタ、そんなんじゃ何食べてるかわかんないだろ?」
「わかるわよ、フルーツサンド」
「唐揚げだよね、それ」
「……っ、うるさい!こっちのが大事なのよ!」

本を閉じてバクバクと食べ始めたリタが、しばらくして満足したようにリンゴジュースを飲みほした。
あらかた食べつくし、昼食が入っていた容器を片付けていく。

「食休み取らなーい?おっさん食後すぐの運動きらーい」
「良いね!いい天気だし、ボク眠くなってきた……」
ふわあ、とカロルが草原に転がる。
「ご飯の後に横になると牛になると言うけれど?」
ジュディスのからかうような言葉にも、カロルは気にせず横になったままだ。
「牛になったことないから大丈夫だよ〜」
「あら、何度も寝たことがあるのね。牛になったカロルはきっと可愛いと思うのだけれど」
「カロルにうしにんの服を着てもらうのはどうです?」
「や、やめてよ二人とも……」


ふたたび研究書を開いたリタを目ざとく見つけたハルは、リタの本を取り上げた。
「ちょっ、何すんの!」
「脳にだって休憩は必要だよ」
「脳の休憩なら昼食べた時にしたわよ。返しなさいってば」
「いいから、ほら」

有無を言わさずに近くの木へとリタを連れて行く。
リタはぶつぶつ言いながら、それでもハルの後に大人しくついていった。

「はい、座って」
先に木に寄りかかって座ったハルがリタを促す。
ハルの隣にリタが座ると、ハルはリタの頭を優しく自分の方へ倒した。

「数十分の昼寝は身体に良いらしいから」
「要するに、あたしに寝ろって?」
「ご名答」
導き出される答えなんて一つしかないのに、ハルは嬉しそうにリタに笑いかける。
「天気も良いし、お腹いっぱいになったら眠くなるしな」
気持ちよさそうにあくびをしたハルを見ていたら、何故だかリタまで眠くなってしまう。

どうせ食休みを取るなら、昼寝もいいかもしれない。
実のところ睡眠に飢えていたリタの身体と脳は、拒絶もなく素直にその誘惑に乗った。
こてん、とハルの肩に頭を預けると、周到なことにタオルケットを掛けられた。

「何コレ」
「いくら天気が良くても屋外の昼寝には上掛けが必要だろうと思って」
「あ、そ」
「おやすみ」
ハルはリタの目尻に小さくキスを落とす。いつもならば顔を真っ赤にして「バカじゃないの!?」と怒るリタだが睡魔には勝てず、むしろそのキスに安心してしまった。
人肌とタオルケットで閉じ込められた適度な温かさに、リタはすぐに寝入ってしまう。



「ふふ、可愛い」
警戒心の強い猫が仰向けになって安心しきったように眠るイメージが今のリタと重なる。
目の下にうっすらと出来た隈を優しく撫でて、一つ息を吐く。
可愛い可愛い恋人は、いつもこうして無理をしてしまう。やれ研究だの、やれ新しい公式だのに飛びついてハルをヤキモキさせるのだ。
リタの研究対象には門外漢な自分を自覚するハルとしては、そんな事ばかりして身体を壊さないかといつも冷や冷やしている。

だから時々こうして、多少強引でもリタを研究から離す。
自分を見てくれる時間が増えるという邪な感情もなくはない。
研究と魔導器が何よりも大事なリタが自分と言う存在を優先してくれる時に、ハルは自分が愛されているのだと再確認して安心するのだ。

孤独な時間に慣れてばかりいた少女に、仲間や恋人に重きを置くことは間違っていないのだとわかってほしい気持ちもある。
無機物ではなく、生身の反応を返してやれるのは人間なのだとハルは時間をかけてリタに言外で伝えてきた。
だからこそ、こうして恋人として触れ合えることが嬉しくて仕方がない。




頬を撫ぜるそよ風が心地よい。魔物と戦う血なまぐさい日常のことなんか微塵も感じないほど、のどかな時間だ。
いつまでもこうして居たいと思う。
リタがハルに頼ってくれて、リタを安心させてやれる関係。

「いい日だなぁ……」
そんなハルの呟きすら風に消えてしまう。
心が温かい何かにひたひたと浸っているような錯覚。




人生が波乱万丈なように、この空間もいつかは壊れてしまう。
それを壊したのは、「凛々の明星」が任務を依頼された対象、レアアイテムを持つ魔物だった。

ラピードの唸り声にいち早く危険を察知したユーリが、剣を片手に素早く魔物へと斬りかかる。
ジュディスもひらりと魔物の攻撃を交わし、鋭い一突きを浴びせる。
続々と魔物に立ち向かうメンバーを見て、ハルは顔をしかめた。

自分も参戦したいが、生憎リタはすやすやと眠っている。
リタを起こすべきか判断に迷ったが、そっと木の幹にリタを移動させてハルも魔物へと突進していった。







***


脳より先に身体が眠りから覚めると、リタは人肌の温度がないことに気付く。
無意識に人肌を求め手を彷徨わせるが、そこには何もない。
騒々しさのせいで意識が浮かび上がると、どうやら戦っているらしいことが分かった。
うっすらと目を開くと、寝付いた時には居たはずのハルの姿は見当たらない。
心地よい眠りから騒音で無理やり起こされ、自分の隣にあるはずの……居なければならない存在が居ないことに、急激にリタの頭の血が上る。

「っ…………うっっっざい!!消えろ!!」
リタが立ち上がった刹那、全体魔法攻撃が天から降り注ぐ。
魔物は一気に呻き声を上げて倒れ、消えた。

「あたしの安眠を妨害すんな!ばかっ!」
リタはイライラした様子で、もう消えた魔物に罵声を浴びせた。




「い、今のって……インディグネイションだった、よね……?」
「そーね。しかもおっさんの見間違いじゃなかったら、詠唱してなかったわよ」
「寝起きのくせして最上級魔法とは、さすが天下の魔導師様だな」
「リタ、すごいです!」
「ええ、リタには驚かされてばかりね」
各々が驚きのコメントを口にする中、リタは全く聞いておらず、

「ハル!」
「ど、どうした?リタ」
「早くこっち来て」
不機嫌丸出しのリタに少し及び腰のハルがリタの所、すなわち木の下に向かう。

「座って」
「う、うん」
数十分ほど前と同じような体勢になったハルは、リタの真意がわからずに困惑するばかりだ。
リタはハルの足を開くと、ハルの身体に対して垂直になるように座った。そして、自分の上半身をハルの胸に預ける。

「リ、リタ?」
「あたしはものっすごく眠いの!」
居心地のいい体勢をもぞもぞと探していたリタが落ち着ける場所を見つけ、小さく満足げな息を吐いた。
ハルの驚いた声も無視して目を瞑る。

ハルの肩に頭を預けていた時に触れていた時よりもっとハルに近くて、もっとハルの体温に包まれている。
リタはこれ以上ない幸せを感じていた。

「寝るから、起こさないで。次起きた時に居なかったら張っ倒すから」
万が一また魔物が来たとしても、この体勢ならばハルは動けないだろう。
「うん、わかった」
リタの真意をようやく理解したハルは、まさか恥ずかしがり屋のリタがメンバーの前で堂々とこんな事をするとは思わなかったと、満面の笑みを浮かべる。

つまりリタは、起きた時に自分が居なかったことがどうしようもなく癪に障ったわけだ。
リタの不機嫌の理由を知ると、ニヤついた笑いが止まらない。

リタに振動を与えないように、放られていたタオルケットを再びリタにかけてやる。
「おやすみリタ、良い夢を」
愛してるよと、いつになく甘い声で囁く。
ついでに額に唇を落とすと、リタは満足げにくふんと鳴いた。







「あのツンデレリタっちが……!」
「あーあー、二人の世界に入りやがった」
「え?え?ユーリ?どうして私の目を隠すんです?」
「お姫様にゃまだ早い」
「レイヴン!何で僕まで!?」
「がきんちょには刺激が強すぎるわよってことで」
「あらあら、仲が良くて羨ましいわ」
「ジュディスちゃん!?おっさんと仲良くしましょーっ」


キスシーンが終わりお子様二人から手を離すと、カロルの顔は真っ赤に、エステルはやたら興奮して目を輝かせていた。
「あんな風に恋人と甘い時間を過ごせたら素敵です……」
「ロマンティックなのね、エステルは」
「リタが、僕には暴力振るってばっかりのリタが……!」

「おやー?どうやら任務完了みたいよ、青年」
「お、ラッキー。レアアイテムなのに一度に二つ落ちてるなんてツイてるな」
「オマケにあーんなレアなリタっちも見れたしね」
「しょうがねえ。今日はもう仕事もないし、リタが起きるまでここでボーっとするか」

「僕も昼寝したいなぁ」
「じゃあカロルが起きるまでに、花の冠を作りますね」
「私はこの辺りでも散歩してくるわ」
「リタが起きる頃には帰ってこいよ?」
「了解、リーダーさん」



メンバーの温かい配慮のおかげで、リタは恋人に甘えながら思う存分寝たのであった。




(んー……って、何この体勢!!)
(ふふ、おはようリタ)
(おはようじゃないわよ!どきなさいよっ)
(えー?リタからねだっておいてそれは酷いな)
(あ、あたしがこんな事ねだるわけないでしょ!)
(寝起きのリタはあんなに積極的だったのになぁ)


(……寝不足のリタには誰も勝てないってことだな)
(触らぬ寝起きリタっちに祟りなし、ってね)


>>>
ギャグなのか甘いのか……!
リタっち可愛いよ!中の人の声も大好きだよ!

詠唱しないで秘奥義は使えないと思うけど、使わせちゃいました(笑)

つんでれないリタっちですみません。でも楽しかった!!!
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ