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・二年後設定
・渾身のギャグ話です。かっこいいサンジくんは1ミリも居ません。


ルフィたちとの再会を果たすために、シャボンディ諸島にやってきたわたし。
二年前のあの日は夢に出てくるほど、記憶に残っている。
わたしがくまに攻撃されそうになったのを庇ってくれたサンジくんがどこかに飛ばされてしまって、そのことに愕然としているうちに何もわからないままわたしも遠い島に飛ばされてしまった。
それからサンジくんを探そうとしたけれども、足がかりは全くつかめなかった。
その内ルフィが新聞の紙面に現れて、わたしは再会が二年後になることを知った。

そして二年後の今日、わたしはどうにかシャボンディ諸島に到着したのだ。
みんなわたしを置いて先に航海に出発してないかと気を揉んでいる。
いやでもきっと、みんなは待っててくれるはず!

みんなと再会できる喜びは一入だけれども、わたしはもっと胸を高鳴らせていることがある。
そう、それは恋人であるサンジくんと再会することだ。
サンジくんが二年の間で心変わりしていたらと苦しんだこともあったけれど、それでもやっぱり恋人との再会は期待してしまう。

「サンジくん……どこにいるのかな」
サニー号があるであろうグローブに行けば会える気がする。
会えたら思いっきり抱きしめて、サンジくんの存在をこれでもかって確認して、二年間どうやって過ごしていたのかを話し合いたい。
やっぱりわたしの隣にはサンジくんが居ないとダメなんだって伝えたい。
それでキスもたくさんして、それから、それから………。

「キャーっ!!わたしってば、はれんち!」
二年間待ちに待っていた再会にテンションマックスのわたしは、一人で騒いでしまった。
「ハル……?ハルか!?」
「ん?その声は、チョッパー!?」
「おおーーっ!ハルだァ!元気だったかっ!?」
「チョッパー、久しぶり〜〜っ!」
ギューッとチョッパーを抱きしめるのも久しぶりだ。じわりと涙が出てきてしまう。
本当にみんなと会えるんだ!また一緒に航海できるんだ!

「会いたかったよぉ〜〜!!ぐすっ」
「おでもだぁぁぁ!!」
チョッパーと滝のように涙を流していると、コツンと頭に軽い衝撃が走る。

「まったく、アンタたち何泣いてんのよ」
「ひぐっ……ナ、ナミ!!久しぶりぃぃぃ!」
チョッパーを抱きしめながらナミに抱き着く。
ナミから香るミカンの匂いも懐かしくて、わたしは安堵のため息を吐く。

「ふふ、久しぶり。相変わらず泣き虫ねぇ」
「だって、みんなと会えたんだよ?嬉しいでしょ?」
「あったりまえでしょ!」
ニコッとナミのまばゆい笑顔にわたしも満面の笑みを返した。

「ねぇ、他のみんなはもう着いてるの?」
「そうね。ルフィ以外はもう着いて、自由行動してるわ」
「っ、じゃあ……!」
「サンジくんとも、もうすぐ会えるわよ」
「………っ、やったぁ!」
嬉しさのあまり、ぎゅっとナミに抱き着くと、真ん中にいたチョッパーが「ぐるじい……」と呻いていた。



***

「わぁっ、サニー号だ!懐かしい〜」
先に船で待機していたウソップ、ロビン、フランキー、ブルックにも挨拶して、お目当ての人物を探す。
「コックさんは、まだ帰ってきていないわ」
「え……そうなんだ……」
「もうすぐ会えるわ。そんなに落ち込まないで」
「うんっ!」



「お〜〜〜い!みんなぁ〜〜〜〜!!!!」
遠くから聞き覚えのある声がする。全員が声の方向に向くと、そこにはルフィが居た。
そして、ルフィの前にはゾロとサンジくん。

「っ、サンジくんっ!!」
ドキドキと胸が張り裂けそうなほど鳴っている。
やっと、やっと会えた………!

三人が船に乗ってきて、すぐに船は出航した。
相変わらずルフィは事件に巻き込まれている(?)らしい。



走って汗をかいたのか、サンジくんが髪を掻きあげた。
どうしよう、すっごくかっこいい……!

「さっ、サンジくんっ……!」
二年ぶりの再会に声が震える。サンジくんの瞳に映ることが少し怖いと感じるくらいに緊張している。
けれど、あの低く甘い声でもう一度わたしの名前を呼んでほしくて、あの素敵な笑顔を見せてほしくて、わたしはサンジくんの前に出た。
「その声はっっっ!!!ハルちゅわ………!!!」
くるりと振り返ったサンジくんが目をハートにしたかと思うと、いきなり大量の鼻血を出して倒れてしまった。


「きゃぁぁぁぁっ!サンジくんっ!どうしたのっ!?追いかけられていた時に誰かにやられたのっ!?」
わたしはピクピクと痙攣しているサンジくんに駆け寄った。
「ギャーッ!医者ーーーーーーーーーッ!って、おれだッッ!!!」
チョッパーのお決まりのセリフの後、輸血パックを出してサンジくんを処置してくれた。
「サンジくんっ、せっかく会えたのに……!死なないでっ」
「アホコック……」
「相変わらずサンジはおもしれーなァ!」
「前よりひどくなってねェか……?」



輸血が終わってから安静にさせてしばらく経ったあと、サンジくんの呻きが聞こえた。
「サンジくん?目が覚めた?大丈夫?」
「ん……?ハル、ちゃん……?」
サンジくんがわたしの名前を呼んでくれた……!!

「そうだよっ、わたしだよ!サンジくん!会えて嬉しいっ……!!」
涙ぐみながらサンジくんの頭を胸に抱きいれると、ブハッ!と音がして、胸に濡れた感触。
「え……?」
チラリとサンジくんを見ると、幸せそうな顔でまた鼻血を出して気絶していた。
「サンジくーーーーん!!どうしたのぉぉぉっ」
「ほ、本物のムネ……!!」
気絶したはずなのにサンジくんが喋った。

「本物の胸って……わたし女だもん!そんなに大きくないけど、ちゃんと本物だよ?」
「ハルぢゃん……本物……」
「本物のわたしだよっ!サンジくんのこと大好きなハルだよ……?サンジくん、せっかく会えたのに、死んじゃ嫌ぁ……!!」
サンジくんを更に抱きしめて泣きじゃくると、ウソップはサンジくんを離せと言ってきた。
「ウソップひどい!恋人たちの時間を邪魔するの!?」
「イヤ、そうじゃねぇけど……なんかサンジ、女にもっと弱くなってる気がしねェか?ハルが近くにいると、もっと鼻血がとまらねえんじゃねーか?」
「う……確かに……。鼻の下は伸ばしても、鼻血を出して倒れるなんてめったになかったよね」
「それがいいわ。それに、アンタのシャツ血まみれよ?着替えてきなさいよ」
「サンジくん、こんなに血を出したら本当に死んじゃうよ……」

みんなに会えるから一応オシャレしたんだけど……。この血、取れるかなぁ?
女部屋に戻ってシャツを着替える。さっきのよりは地味で肌も隠れてしまったけれど、仕方ない。
オシャレより、今はサンジくんの側に居たい!
とりあえず血まみれのシャツは水であらかた洗い流した後、洗剤を溶かした水につけておいておく。


走って甲板まで行くと、海へと潜り始めたのと同時にルフィの出発の号令が響いた。
うん!みんなでまた一緒に旅ができるんだ!
チラリとサンジくんを見ると、いつものように煙草を吸ってニヤリと笑っていた。
「はぁ、かっこいいな……」
じっと見つめていたせいか、サンジくんが熱視線に気づいてこっちを見てくれた。

「ハルちゃん!」
「サンジくん!」
どうやら、今度は鼻血を出さないらしい。
露出の少ない格好にして正解だった。また鼻血を出されたら、落ち着いて話もできない。
「会いたかったーーー!」
駆けだしてサンジくんに飛びつくと、素敵な笑顔で抱きとめてくれた。
懐かしい煙草の匂いが服から香って、わたしはついつい顔を胸元に埋める。
うっとりとその芳香に包まれていたわたしは、サンジくんが鼻を思いっきり抑えていることを知らなかった。

「ずっと、会いたかった……。ふとサンジくんのこと思いだしちゃって、淋しかったこともあったけど……」
「ああ、おれもずっとハルちゃんをこうして抱きしめる夢ばっか見てたよ」
「わたし……サンジくんがくまからわたしを庇ってくれて、どっかに飛ばされちゃって、サンジくんが見知らぬ場所で苦しんでる夢ばかり見たの……」
ぐずっ、と啜り上げて嗚咽を堪える。サンジくんが小さくわたしの名前を呟いた。
「ごめんね……ずっと、謝りたいって、ひぐっ、……サンジくんとまた会えたら謝りたいって、思ってて……っ」
ふ、っとサンジくんが笑ったような気がした。
「謝ることなんかないさ。プリンセスを守るのはプリンスの務めだろ?むしろおれこそ、悪かった。そうやって二年もハルちゃんを苦しめちまった」
ブンブンと首を横に振る。
そんなことないよ。だって、

「サンジくんが生きてる……こうやって抱きしめてくれてる……それだけで、いい」
「ハルちゃん、」
「サンジくんの声、体温、煙草の匂い……またそれを感じることができた。それだけで、どうしようもないくらい幸せなの」
抱きしめられている腕が強くなった気がして、もっとサンジくんを感じることができた気がした。

「サンジくん、大好き……」
二年間ずぅっと溜めこんでいた気持ちを、この一言に込めた。
どうか、サンジくんの心の奥底まで届きますように。
「あぁ………おれもクソ愛してる。世界で一番、な」
「ふふっ、嬉しい。またずっとわたしの側に居てね、王子様」
「何があってもおれが守るよ、プリンセス」


くすぐったいセリフも二年ぶりだ。それでも久しぶりのそれに照れるより先に嬉しくてたまらなくなってしまった。
「一生、ね?」
サンジくんの首に腕を回して、ぐっと自分の方に頭を寄せた。
耳元でそう囁いて、ついでにほっぺにチューをする。
ヒゲがちょっとむずがゆかったけど、それもかっこいいから許しちゃう。

「もっちろんですとも〜〜〜!!!がふっ」
目をハートにしたサンジくんが、また鼻血を出してしまったのは、数秒後のことだった。



(きゃーーーっ!サンジくん、どうして!)
(イチャついてると思ったらまた鼻血かよ)
(あーもうっ、面倒くさいっ)


>>>
最後の方はなぜかちょいシリアスっていうね……。
ロビンの過去から読んでなかったのですが、60巻近くまで読んだので書いてみました。
ワンピース無双のサンジくんがイケメン……!!!
ぐだぐだギャグ?で申し訳ないです……
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