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□宗介
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・糖分ゼロ
・凛ちゃんと主人公は幼馴染み
・宗介(→→→→→→→→→→)主人公


宗介が転入してきて数週間経った頃だろうか。
クラスメイトに「男に惚れんなよ」と冗談まじりでからかわれた。
鮫柄に来るまでは普通に彼女も居たし、何より自分がここに来た理由は凛と泳ぐためだったから恋愛などに現を抜かす気は毛頭なかった。
しかし、実際暮らしてみればどうだ。
寮や部活で一緒に過ごしている2つも年下の、ついこの間まで中坊だった男に惚れた。

いや、惚れたというと語弊がある気がする。
類は友を呼ぶという諺通りに、百太郎と千晴は超がつくほどの天然おばか達だった。
末っ子特有の絶妙な甘え方で懐に入り込み、宗介を懐柔した。
江の幼馴染みということで凛にも可愛がられている千晴は、よく凛と共に行動していた。
凛に頭を撫でられて猫のように緩んだ顔が可愛いとか思ってしまった。
そのくせ警戒心が強い千晴は宗介にはよそよそしい。


その差を知っている宗介としては、まず腹が立った。
宗介の目の前で凛に甘やかされて無防備な姿を晒しているくせに、宗介が凛に話しかけるとその甘えをすっと隠してしまう。
態度をころっと変えるなんて女みたいだと内心苛つく宗介は、ほんの気まぐれで千晴にちょっかいをかけた。

どうせそんな甘えたは彼女の一人もできたことがないだろうと千晴に手荒いキスをした。
初めてのキスなのに奪っちまって悪かったなと断定口調で軽い謝罪をすると、千晴は羞恥ではなく怒りで顔を真っ赤にした。
そこからは敵認定され、近づくだけで手負いの獣のように宗介を威嚇してくる。

凛にも宗介お前何したんだよと呆れられ、ちょっとからかっただけだと言えば、面倒なことすんなよと思ってもなさそうな声音で窘められた。

嫌がるという行為が宗介を満足させることをわかっていない千晴は、先ほども言ったように超ど天然のおばかなので、何度も宗介のからかいに引っ掛かる。
昨日も千晴のひ弱な身体を片手で封じ込めて、顎を無理やり開かせて舌を舐めしゃぶった。
抵抗する声もくぐもって、こんな声や顔は凛すら見たことないんだろうと思えば征服欲をひどく満たした。


こんなに乱暴すぎる欲求は、果たして恋なのだろうか。
よくわからないけれど、千晴を見つけるたびに宗介の心は跳ねた。




夕食が終わって自室に戻ろうとすると、千晴が自販機でジュースを選んでいるのを見つけた。

「おい」
「っわ!……って、うわぁぁぁ!!出た!」
「おいおい、虫扱いかよ」
「虫のがまだマシ!」
超特急で逃げを打つ千晴をにやけながら早足で追いかける。

「なんで着いてくるんですかっ!!」
「いやだって、逃げられたら追いかけたくなんだろ」
「なにその狩猟本能!やばんじん!!」
「あ?先輩に向かって野蛮人とは、いい度胸してるな」
「ぎゃー!たすけて!りん、りんっ!!」
たまたま廊下を歩いていた凛を見つけた千晴は、馬鹿でかい声で助けを求めて凛の背中に隠れた。

宗介は内心で舌打ちをする。
「凛!」
「ったく、お前らまたやってんのか?おい宗介、あんまり千晴を苛めんなよ」
「苛めてなんかねえよ、先輩後輩の仲を深めようとだなぁ」
「嘘!嘘つき!」
虎の威を借る狐のように威勢よく宗介に噛みつく千晴を、このあとどうしてやろうかと算段をつける。
どうせ凛に袖にされてわたわたと逃げるのが関の山だ。

にやりと人相の悪い笑みをこぼすと、千晴は恐怖に身を竦ませる。

「り、りん!今日はずっと一緒に居て、一緒に寝るから!」
「はぁ?何ばかなこと言ってんだ」
「ばかじゃない!」
「シングルに男二人で寝れるかよ」
「寝る!」
「だ・め・だ」
「りぃぃぃんんん!!おーねーがーいー!」
「しつこいぞお前!」


千晴が食い下がるのも無理はない。
このままのこのこと部屋に帰れば、宗介に襲われることは必須だ。
一見、宗介と同室の凛の部屋に留まるのは浅はかだと思うだろうが、宗介にとって凛という存在はかなりの抑止力になる。
凛の側に居さえすればこっちのものだと千晴は考えた。

しかし幾度も江の我が儘攻撃を受けている凛には、こんな駄々など軽くいなせる。
千晴の敗北の線が濃くなって、宗介はさらに笑みを深める。

早く千晴の身体に触れたい。
早く千晴の柔らかな唇に噛み付きたい。
さあ、早く落ちてこい。



「凛の幼稚園の時のあの話バラしてもいいのか!?」
「はぁぁっ!?おま、それはもう時効だろ!」
「時効でもなんでもいい!バラす!」
「やめろバカ野郎!」
「凛!お願いっっ」


弱味を握られている凛は、苦虫を噛み潰したように眉根を寄せて数秒唸った。
「……仕方ねえな、今日だけだぞ」
「っ!!凛!!ありがと、大好き!」
やったー!と凛に抱きついて喜びを表す千晴に、全く困った奴だと笑いながらも凛は千晴の髪を梳くように撫でた。



企みが泡となった宗介は、チッと舌打ちをした。
その音を聞いた千晴は、凛に抱きつきながら宗介に向かって「あっかんべー」と舌を出す。


「てめぇ………ぜってぇ犯す………!」
執念深い宗介の決意など微塵も知らず、その夜千晴は凛に抱きつきながらすやすやと眠りについたのだった。


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ヒヨッコをからかってるうちに好きになっちゃうドSと、表面上の敵意に敏感になって警戒してるヒヨッコちゃんのお話でした。
宗介がちょっとでもデレれば主人公は落ちると思います!
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