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□ゲーム
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「なぁなぁ、ユーリ」
「あ?何だよ、チハル」
「透明人間って知ってるか?」
「ああ、全身透明になっちまうってやつだろ」
「うん、そう。それでイタズラしようって思ってる人がたくさん居るんだって」
「イタズラ?どんな」
「好きな子の部屋覗いたり、勝手にお店の物食べたり、友だちを驚かせたり」

「ははっ、それはタチが悪ィな」
「ユーリはなってみたい?透明人間に」
「俺は透明人間にならなくたって堂々と好きな奴の部屋に入るし、店の物を食ったら金払うし、フレンを驚かせるけどな」
「ユーリらしいや」
「で?チハルはなりたいのかよ」
「うーん……。なってみたいとは思うけど、ユーリの目の前に居るのに気づいてもらえないのは嫌だなぁ」
「あ?」

何だソレ、と言いたげにオレを見るユーリ。
「だって、ユーリに気付いてもらえなかったら抱きしめてもらうこともできないし、もし抱きついても驚いたユーリに拒絶反応されたら、オレ悲しくて死ぬ」
好きな人に知らんぷりされるなんて、悲しくて悲しくてたまらないと思うんだ。
オレは結構マジメに言ったというのに、ポカンと口を開けたままのユーリは、意味を理解するとククッと笑った。

「笑うなよ」
「わりぃ。チハルがそこまで俺の事好きだとは思ってなかったからな、驚いた」
「なっ!オレの愛は全くユーリに届いてなかったのかよっ」
「ここまでストレートに言われたら、疑えねえほどわかるっての」
「ぅわっ!?」

ひょいっと掬い上げられ、ベッドに寝かされてしまった。
「ちょ、何してんだ、今は昼……!」
「お前が可愛いこと言うから悪いんだよ」
「オレはマジメに……」
「もしお前が透明人間になっちまったら、俺の前で溶かしたチョコレートを頭っからかぶれ。そしたら、お前が見えるだろ。それで、抱きしめてキスしてやるよ」

ちゅ、と静かに唇が合わさった。
「な、んで、チョコ……」
「お前の全身舐めてやるから」
「へんたい!チョコ色の絵具かぶってやる!」
「はは、それは勘弁」

オレの強がりにもユーリは笑ってかわす。
「だから、もし俺が透明人間になっちまっても、そうやって抱きしめてくれよ」
「う、ん……」
「キスもしてくれるよな?」
「……、ばか」
「ははっ」

深いキスを何度もして、頭がぼんやりとする。

「ユーリ……忘れんなよ、今の言葉」
「忘れねぇよ。楽しみにしてるからな」
「期待はしなくていいっ!」


オレの恋人は、やっぱり世界一かっこいい!

(ああでも、俺が透明になったらチョコかぶる前にお前にイタズラする)
(はあ?)
(いきなり胸とか舐められて、戸惑いながら感じてるお前が見たい)
(ばかっ!へんたい!エローウェル!)

>>>
相変わらずエローウェルですみません。
透明人間になったら物も触れないかと思ったんですけど、いたずらとかできるなら触れるからチョコも被れるよな!と思ったので。
 

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