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ぽたり、ぽたりとノートに染みが出来た。
隣で試験の範囲を教えてくれてる宗ちゃんは息を呑んで驚いていた。
「……雨が降ってるみたいだね。窓、閉めようか」
蒸し暑いエアコンの無い部屋。
カラカラと窓を閉じた音がしたら、背中には大きい温かみ。
晴天なのにこの部屋には雨が降っている。
「きっと、わかってくれるよ」
「……嫌われてるに決まってるよ」
「そういう時だってある。だけど、そんなに悲しまないで」
宗ちゃんの声まで苦しそうになっている。
誰かに拒絶されたからって、絶望しないで。
全ての人に嫌われたと思わないで。
宗ちゃんは、そう言ってくれてるみたいだった。
「大丈夫だよ。俺がついてるから。俺はいつでも春の味方だから」
「……あいつも、そうだと思ってた。あたしをちゃんと理解してくれてると思ってたんだよ」
雨足はあたしの鼓動と一緒にひどくなる一方で。
「……俺には、春を慰められないかもしれない。だけど、いつでも傍にいるから」
あたしの存在を確認するように、宗ちゃんの腕があたしを強く抱き締めた。
今はこの手を放さずに居よう。
君がもっともっと、本当の僕に気付きますように。
(そう言ってくれる誰かが欲しかっただけだった、)