創作小説*違うサイトでの投稿品

□天使の歌声が聞こえるまで
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いつも公園にいる子は、キャンパスと本を持っていた。




〜天使の歌声が聞こえるまで〜




ベンチに座って、穏やかな目で本を読んでいた。

あたしと同じくらいの歳の女の子だった。


「ちょっとー!よそ見してんじゃねぇよ!」


あたしの頬をはたかれる。

ジンジンと痛みがはしる。

明日、腫れないかなぁなんて心配している場合じゃない。

あたしは今、5人くらいの女子高生に絡まれていることだ。

原因は……私が女子高生たちの中の1人の靴を踏んでしまったため。

これは、事故。

意図てきではない。


「……あの、すみませんでした」


何度謝ったかわからない。


「ちょっと、これブランド品なんだけどぉ?」


知りません。

ブランド品とかよくわからないのですが。


「マジで!?最悪じゃんこいつ。弁償してもらえば?」


「だよねぇ」


キャハハと笑っていやがる女子高生たちは、あたしの腹を蹴り飛ばした。


「ゴホッ……」


あたしはその場の倒れこむ。


「土下座しろよ」


いやですよ。


「だよなぁ。普通はどげざだよなぁ」


普通ではありません。


「ほら、土下座しろよ」


あたしが靴を踏んでしまった人が

あたしの髪をつかんだ。


「……離してよ……」


「はぁ?」


「離してっていってるの!触らないで、あたしの髪の毛に!!」


あたしは手をはたいた。


「なっ……てめぇ、ふざけんなよ!」


今度は頭をけられた。

近くに何があったのかわからないけど、ものすごい衝撃をくらった。

そして……そのまま、気が遠くなるような感じがした。


「ねぇ、ちょっと……やばくない?」


「え、大丈夫でしょ?」


女子高生たちがボソボソと話し始めた。

ざまあみろ……なんて、ね。


「……ちょ、逃げよう」


足音が遠ざかる。

公園には音がしなくなった。

悔しい……やられっぱなしだった……。

あたしの耳元には再び足音が聞こえる。


「……」


だけど、声はしない。

あたしはうっすらと目を開ける。

すると、ベンチに座っていた女の子があたしの目の前にいた。

黒いきれいな髪の毛が肩について、前髪を赤いピンでとめている。

近くで見たことなかったけど、とてもかわいらしい女の子だった。


「……」


その子は首をかしげたまま、あたしの肩を揺さぶった。


「……いた……い……」


やっと絞り出した声だった、
女の子はハッして、あたしの肩から手をどけた。

起き上がろうとしても、なぜか体が言うことを聞かなかった。

女の子はキョロキョロとあたりを見回していた。


「……何?」


目だけを開けて、その子に聞いた。


「……」


黙っていた。


「……なによ……見ないでよ!どうせ馬鹿らしいとでも思ってるんでしょ!?よわっちいとでも思ってるんでしょ!?なんかいったらどう!?」


涙があふれてきた。

すべてが、その子に対するやつあたりで……。

すべてが、あたしに対するあたしの言葉だった。
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