純情シリーズ

□A Happy New Year!
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エゴイスト


「乾杯ー」

大晦日なのに一人酒。

さっきまで本を読みあさっていたが、何故か無性に酒が飲みたくなり今に至る。

世界で一番愛しい人、草間野分は夜勤で帰りが遅い。

小児科の研修医で、現場の最前線で働く野分をとても誇らしく思う。

しかし、本当は大晦日ぐらい一緒に過ごしたかった。

「しょうがねーけどさ」

少し酔い始めたのか、独り言が出てきた。

「好きなんだよなぁ……」

本当に、野分のこと。

野分に巡り会っていなかったら、寂しいという感情は生まれなかっただろう。

本当に、野分に出会ってよかった。

今まで泣いてしまうくらい苦しいこともあったけど……。

抱えきれないほどの幸せをもらった。

「あと10秒か……」

あと少しで、新しい年。

9、8、7、6、
この年も、2人で、歩んで行きたい。

5、
ガチャっ!

玄関のドアが開く。

4、
バタっ!

リビングのドアが開かれる。

3、
「ヒロさん!」

2、
ふぅ。息を整える。

1、
「ただいま。」

0、
『明けましておめでとう』

今年も二人が幸せでいられますように。




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