純情シリーズ
□甘い薬
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「ただいまヒロさん!」
思っていたより早い恋人の帰宅。
今日は仕事が早く終わって、食事も、掃除も完璧だ。
「おぅ! おかえり!」
ハードな仕事で疲れたのか、野分は顔が少しほてっている。
「今日は早かったな」
「はい。患者さんが少なかったので。それに、ヒロさんの顔が早く見たくて、走って帰ってきました!」
ふいに見せる笑顔に、胸が高鳴る。
「一緒に住んでんだから、顔なんていつでも見れるだろっ」
なんで俺は、素直に喜べないんだろう。照れてしまう自分を隠すために、手早く言った。
「そうだ、野分。 飯にするか?風呂にするか?」
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