*ガンダム00(そのに)*

□ちっちゃくったって〜りべんじ〜
2ページ/9ページ

「なにがうまいんだ?」


「ひぁ!?」


ぼうっとしていた所に、いきなり降ってきた声。びっくりして思わず叫んでしまった。

だってその声の持ち主は、まさしく今僕の頭を支配していた人物で。


「ろっ…ロックオン!」


「何でそんな驚くんだ?」

そう言って笑いながら頭を撫でてくれるから心臓が跳ねた。


「なっ…なんでも、ない」

恥ずかしくてうつ向いたら、ふわりと抱き締めてくれた大きな腕。


「考え事か?ぼーっとしてたらこけるぞ」


からかうみたいに頭上から降りてくる声。だけど抱きしめる腕はとても優しくて、ああ心配してくれているんだなと気付く。

暖かい体温と抱き締められる気持ち良さに目を閉じる。
あなたのことを考えていました、なんて口が裂けても言えない僕は、言葉の代わりにそっと抱き締め返すことにする。

すらりとして見えるロックオンだけど、実際は筋肉が付いていてとても逞しい。
がっしりとしたその背中にどうにか腕を回す。

僕とはまったく違うこの体、とても愛おしい。

「ティエリア」

しばらくロックオンの体温を感じていると、そっと名前を呼ばれた。
心地の良い低音に思わずふるりと震えた。


「…はい」


「なぁ…抱きたい、ティエリア」


その単語に驚いて体が跳ねる。
真剣な声色。熱っぽいそれにドキドキして仕方ない。

答えられずに俯いていたら、一層強い力で抱きしめられて声が漏れた。

今からこの腕に抱かれるのかと思ったら、恥ずかしくて死んでしまいそうだ。

…けれど。

抱いて欲しいって、確かにそう思ったから。


「……だいて、ください」


長い沈黙の後に、消え入りそうな声でそう告げると、ロックオンが小さく微笑んでキスをくれた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ