*ガンダム00(そのに)*
□ちっちゃくったって〜りべんじ〜
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「なにがうまいんだ?」
「ひぁ!?」
ぼうっとしていた所に、いきなり降ってきた声。びっくりして思わず叫んでしまった。
だってその声の持ち主は、まさしく今僕の頭を支配していた人物で。
「ろっ…ロックオン!」
「何でそんな驚くんだ?」
そう言って笑いながら頭を撫でてくれるから心臓が跳ねた。
「なっ…なんでも、ない」
恥ずかしくてうつ向いたら、ふわりと抱き締めてくれた大きな腕。
「考え事か?ぼーっとしてたらこけるぞ」
からかうみたいに頭上から降りてくる声。だけど抱きしめる腕はとても優しくて、ああ心配してくれているんだなと気付く。
暖かい体温と抱き締められる気持ち良さに目を閉じる。
あなたのことを考えていました、なんて口が裂けても言えない僕は、言葉の代わりにそっと抱き締め返すことにする。
すらりとして見えるロックオンだけど、実際は筋肉が付いていてとても逞しい。
がっしりとしたその背中にどうにか腕を回す。
僕とはまったく違うこの体、とても愛おしい。
「ティエリア」
しばらくロックオンの体温を感じていると、そっと名前を呼ばれた。
心地の良い低音に思わずふるりと震えた。
「…はい」
「なぁ…抱きたい、ティエリア」
その単語に驚いて体が跳ねる。
真剣な声色。熱っぽいそれにドキドキして仕方ない。
答えられずに俯いていたら、一層強い力で抱きしめられて声が漏れた。
今からこの腕に抱かれるのかと思ったら、恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
…けれど。
抱いて欲しいって、確かにそう思ったから。
「……だいて、ください」
長い沈黙の後に、消え入りそうな声でそう告げると、ロックオンが小さく微笑んでキスをくれた。