*ガンダム00(そのに)*
□あなたに処方箋
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「…では、どうぞお大事に」
少しだけ沈黙が流れた後、ベッドの片隅に着替えをそっと置いて去ろうとするティエリア。
「…っティエリア」
去ろうとする背中に向かって呼びかける。思わず手を掴んでしまってハッとする。
何故だか本当に寂しくて、そんな中にふと現れたティエリアが嬉しかったから。
もう少しだけ居て欲しいと思った。
なんだか、らしくもないけど。
「すまない…っごほっ!」
急に上半身を起こしたからだろう、喉に空気が閊え咳き込んでしまう。
「…っロックオン」
慌てたティエリアがゆっくりと背中をさすってくれるから、なんだかとても気持ちが良い。
「ありがと…はは、なっさけねーなぁ」
咳が止まってぼふんとベッドに沈んだら、じっとりと汗が滲んだシャツが背中に張り付いて気持ちが悪い。
かなり熱もあるのだろう、熱いのに寒いという独特の不快感に襲われて眉を潜めた。
それをぐっと堪えてティエリアを見たら心配そうに見つめ返される。
心配させてしまった申し訳なさと同時に、心配してくれる人が傍にいる嬉しさが募る。
「何か、飲み物を持ってくるから…」
少しだけうろたえながら飲み物を取りに行こうとするティエリアにやっぱり笑みが零れた。
「いや…大丈夫だから、ごめん…少しだけ傍にいて」
そう言って手を握ったら、薄暗い部屋で少しだけティエリアの顔が赤くなったのが分かった。
可愛い。
「お前の手、冷たいなぁ…気持ちいい」
握った小さな手の冷たさが心地良い。そっと自分の頬にあててみる。火照った頬にひんやりとしたその手はとても気持ちが良くて、思わずぎゅっと握ると、小さな手がぴくんと跳ねた。
「ろ、ロックオン…」
益々うろたえたティエリアが名前を呼ぶ。けれど手は引っ込めようとしないところがまた可愛い。
普段なら手を払われるだろうか、風邪だから大人しくしてくれている?
そんなことを考えながらそっと指を絡めてみたら、ほんのり赤い顔がまたぽわんと赤くなった。