*ガンダム00(そのに)*

□あした、てんきになあれ
2ページ/4ページ

「明日何すっかな…この付近じゃ大きなショッピングセンターがあるなぁ」

買い物も良いな。ミススメラギにうまい酒買ってこいと頼まれたし。
そう考えを巡らせて部屋のカーテンを開けると、夜も更けたというのに未だネオンが煌く街。

その外れにふと、大きな大きな濃紺色を捕らえる。
暗くて一瞬何か分からなかったそれだが、月の光を反射させてゆらゆらと揺らめく姿で海なのだと分かる。

「…海もいいな」


「…うみ…」

すると興味があったのだろうか、黙々と本を読んでいたティエリアが、顔を上げて小さく海と呟いた。
振り向いて視線を合わせると、はっとして恥ずかしそうに俯くから。
その仕草が可愛くて思わず近付きソファ越しに抱きしめた。

「なっ…ロックオン!」

恥ずかしそうにじたばたともがくティエリアを余所に、よし明日は海だなと決意する。



「お前ら、明日は海行くぞ」


そう言って顔を上げると、アレルヤが笑顔になった。

「海、良いですね」

「ビキニのねーちゃん達と乱痴気騒ぎといこうぜ!」

「んもう!ハレルヤ!」

またはじまったハレアレ脳内喧嘩を余所に刹那に同意を求めると、俺は構わないとだけ呟いてまたハロを転がし始める。



「てことで、明日は海な」

「で、でも予報では明日は雨が降ると…」

「10%だろ?大丈夫だって」


そういってぎゅっと抱きしめたら、尚も恥ずかしそうにじたばたしていたけれど。

「はいはい、暴れない暴れない」


腕にすっぽりと収まる小さな体。
こいつ、また痩せたな。
明日は海でバーベキューだな。
…や、カレーにするかな。

そんなことを考えながらよしよし、と頭を撫でたら、あんなにじたばたしていたティエリアがふいに大人しくなった。


やりすぎたか?と思っていたら、

「…海は…」

「…ん?」

「…海は、塩味と本で読みました」

ほんとうですか?なんて。



あ…やばい。可愛い。
太陽の下で海の冷たさと塩辛さに驚くティエリアを想像して、知らず口元が緩んだ。

ああもう、明日は絶対海だな、決定。
堪らず小さな体をひょいと抱き上げてドアの方へ向かう。


ほんのり赤くなったアレルヤと、意に介さない刹那を余所に。

「刹那、髪は明日な!海で切ってやる」

「…頼む」


降ろしてくださいと叫ぶティエリアを抱えたまま部屋を出て、そのまま寝室へ連れて行ってドアを閉めた。
ティエリアの心臓の音が段々早く大きくなって行くから、こちらまで緊張してしまいそうになって苦笑する。

「…ろ、ロックオン…」

そっと降ろして壁に凭れさせる。
すると火照った体でそろりと視線を合わせて来るティエリア。
俺よりも一回りほど小さな体は、意図せず上目遣いになっていて。
けれど本人は自覚がまったく無いらしく、恥ずかしそうに視線を外したり、また目を合わせてきたりを繰り返す。

ほんと、こういうところが可愛くて仕方が無い。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ