*ガンダム00(そのに)*
□あした、てんきになあれ
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「明日何すっかな…この付近じゃ大きなショッピングセンターがあるなぁ」
買い物も良いな。ミススメラギにうまい酒買ってこいと頼まれたし。
そう考えを巡らせて部屋のカーテンを開けると、夜も更けたというのに未だネオンが煌く街。
その外れにふと、大きな大きな濃紺色を捕らえる。
暗くて一瞬何か分からなかったそれだが、月の光を反射させてゆらゆらと揺らめく姿で海なのだと分かる。
「…海もいいな」
「…うみ…」
すると興味があったのだろうか、黙々と本を読んでいたティエリアが、顔を上げて小さく海と呟いた。
振り向いて視線を合わせると、はっとして恥ずかしそうに俯くから。
その仕草が可愛くて思わず近付きソファ越しに抱きしめた。
「なっ…ロックオン!」
恥ずかしそうにじたばたともがくティエリアを余所に、よし明日は海だなと決意する。
「お前ら、明日は海行くぞ」
そう言って顔を上げると、アレルヤが笑顔になった。
「海、良いですね」
「ビキニのねーちゃん達と乱痴気騒ぎといこうぜ!」
「んもう!ハレルヤ!」
またはじまったハレアレ脳内喧嘩を余所に刹那に同意を求めると、俺は構わないとだけ呟いてまたハロを転がし始める。
「てことで、明日は海な」
「で、でも予報では明日は雨が降ると…」
「10%だろ?大丈夫だって」
そういってぎゅっと抱きしめたら、尚も恥ずかしそうにじたばたしていたけれど。
「はいはい、暴れない暴れない」
腕にすっぽりと収まる小さな体。
こいつ、また痩せたな。
明日は海でバーベキューだな。
…や、カレーにするかな。
そんなことを考えながらよしよし、と頭を撫でたら、あんなにじたばたしていたティエリアがふいに大人しくなった。
やりすぎたか?と思っていたら、
「…海は…」
「…ん?」
「…海は、塩味と本で読みました」
ほんとうですか?なんて。
あ…やばい。可愛い。
太陽の下で海の冷たさと塩辛さに驚くティエリアを想像して、知らず口元が緩んだ。
ああもう、明日は絶対海だな、決定。
堪らず小さな体をひょいと抱き上げてドアの方へ向かう。
ほんのり赤くなったアレルヤと、意に介さない刹那を余所に。
「刹那、髪は明日な!海で切ってやる」
「…頼む」
降ろしてくださいと叫ぶティエリアを抱えたまま部屋を出て、そのまま寝室へ連れて行ってドアを閉めた。
ティエリアの心臓の音が段々早く大きくなって行くから、こちらまで緊張してしまいそうになって苦笑する。
「…ろ、ロックオン…」
そっと降ろして壁に凭れさせる。
すると火照った体でそろりと視線を合わせて来るティエリア。
俺よりも一回りほど小さな体は、意図せず上目遣いになっていて。
けれど本人は自覚がまったく無いらしく、恥ずかしそうに視線を外したり、また目を合わせてきたりを繰り返す。
ほんと、こういうところが可愛くて仕方が無い。