*ガンダム00(そのに)*
□ティエリアさんの恋人
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今日の天気は雲ひとつ無い快晴。
ぽかぽかと気持ちの良い気温だけど、日光が苦手な僕は、くらりと眩暈を覚えて傍の電柱に掴まってしまう。
「ぅ〜暑ぃ…春なのに…」
じんわりと汗ばむシャツをパタパタと扇いで団扇代わりにすると、素肌に風を感じて思わず溜息が零れる。
「ふぁ〜きもちー」
灰色のスカートまでぱたぱたさせながら風を感じるその姿に、どぎゅんと胸を打たれた生徒は数知れず。
(((かっ…可愛い!!)))
「あぁ、可愛いよティエリア…さすがは僕の女神…」
「…それは聞き捨てならないなリジェネ君、誰が誰のものだって?」
「り、リボンズ教頭…」
「勘違いしてもらっては困るな。僕は君の上位種。僕が好きなティエリアが、君のものだ何てことはありえないのだよ」
そう、特に隣のクラスのリジェネ君や、リボンズ教頭先生なんかはもう、ティエリアにメロメロなのである。
そんなことも意に介さず、一人でつまらなそうにゴミを探すティエリアの目にふと小さな黒い動く物体。
「…ぁ」
あまりにまんまるで真っ黒で、一瞬毬か何かかと見間違うそれは、温かい日差しを背中に受けて規則正しく呼吸をしていた。
(ねこ…)
恐る恐る背中にふれると、ふんわりとして柔らかくて、とても触り心地が良い。
「可愛い…」
そういえばロックオン先生も猫が好きって言ってたことを思い出す。
そっと抱き上げてみると、大人しく抱かれる猫に益々愛おしさが込み上げて思わず小さな鼻先にキスを落とす。
「…ねぇ猫さん。好きな人にもこうやって自分からキスするには、どうすればいいんだろうね」
好きな人に好きって言ってもらうには
どうすればいいのかな
まるで理解したみたいに首を傾げる猫に苦笑して、小さな頭を撫でた。
しばらく猫と戯れていると、ふと視界の先に見えた光景に一瞬息を呑む。
あれは…
(ロックオン先生、と…フェルト?)
そこには、ロックオン先生と、同じクラスのフェルトがいた。
少し遠くにいるふたりは、何だかとても仲良さそうに話していて。
時折フェルトの話すことに楽しそうに笑うロックオン先生を見て、胸がちくちくする。
生徒が先生と2人で話すなんて、ごくごく当たり前のことだって分かってる。
…けれど。
「…っ!?」
フェルトの頭についた桜の花びらを、ロックオン先生がそっと取ってあげている。
その優しい大きな手のひらで…
(やだ…やだ、他の人に触っちゃ、やだ!)
頬を染める彼女を見て、イライラが込み上げる。
ぼくの、せんせーなのに…
「あっ…あなたはっ……僕だけに触れていればいいんですっっ!」
思わず遠くから叫んでしまってはっとする。
驚いて目を開ける先生…
…しまった。
そう思ってももう遅い。
「ぇ、あ…や、あの…ごっ、ごめ……何でもありませんっ!」
言い終わらないうちに猛ダッシュで逃げた。
きっと今これが運動会なら、間違いなく一位だ、なんて馬鹿なことを考えながら。