*ガンダム00(そのに)*

□平和な世界でありますように
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「……え?」


彼は今…何と言った?
結婚?彼が…僕と?

「ロックオン…何、言って…」

「俺はもう、誰も無くしたく無いし、誰も傷つけたくは無い」

ロックオンが、少し震えている。
抱きしめられた腕にそっと触れ、続きを促す。

「自分が愛した人達がいつまでも笑って過ごせる、そんな世界を作りたい」

戦争の中で、いつ消えるとも知れない命に怯える人達。こんな世界で良いはずがない。

「だから、戦争が無くなったら…理想の世界になったら…俺とずっと一緒にいてほしい、ティエリア」

ずっと傍で笑っていて、と。
ぎゅうと抱きしめられた強さに、言いようの無い感情が込み上げる。

「…あなたはっ…愚かだ…僕なんかを…」

僕なんかを欲しがってくれるのか。

こんなにもちっぽけで
こんなにも、何も無い自分。
あまつさえ、人間ですら…

「俺が守りたいのは、お前だ」

僕の考えを遮るように降りてきた優しい声。溢れた涙に視界が歪む。

「ロックオン……」

ぽろぽろと零れる涙をそっと拭われる。

壊れた協会の瓦礫の中で、そっと交わされる神聖なキス。
それは一度きりで、すぐ離されたけれど


きっと一生忘れる事はないだろう。
永遠の様な、その一瞬を。

「俺と、結婚してください」


戦争根絶、という目的の為、ただそれだけの為に生きてきた自分が…今はその先の未来を夢見ている。

とても儚くて、それでいて綺麗なその夢が、どうか早く叶いますようにという願いを込めて


「…はい」


高いビルが壊され、もう広くなった空を仰いだあと、祝福してくれる神さえもいない世界の真ん中で、そのプロポーズの返事を風に乗せた。




*END*
戦争根絶が果たされた暁にはきっと…きっと…!
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